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MURCD-039 / FFF - In Fear

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Murder Channelを代表するアーティストである、アーリーレイヴとアーメン・ブレイクをこよなく愛する「FFF」が待望のニューアルバムをリリース!

CD版にのみ「CYCHEOUTS GHOST」によるリミックスがボーナストラックで追加収録!


アーティスト: FFF
タイトル: In Fear
レーベル: MURDER CHANNEL
品番: MURCD-039
価格: 1500円(税抜)
発売日: 7月5日

Track List
01. Automation
02. Murderous & Vicious
03. Run Like A Fool
04. Prove Yourself  VIP
05. No Hope  (Trapped In Fear Remix)
06. Amen Soldier VIP
07. North
08. The Other Side
09. Crush and Bury
10. Crush and Bury (Cycheouts Ghost remix)*
11. Amen Soldier (Cycheouts Ghost remix)*

** CD BONUS TRACK



DIGITAL版はBandcampにて発売中!






90年代初期のジャングルを軸とし、彼の膨大なネタ群の中でも、70年代のクラウトロック(代表的なアーティストはドイツのCAN、NEU!など)、ノイズ、実験的な電子音楽〜ロック、ダブ等をサンプル・ソースとして積極的に取り入れている。
ゆえに、今作は少々シリアスな印象。しかし、持ち前の爽快感は損なわれていない、という恐るべきバランス感覚の作品である。

特に③などは、まるでP.I.Lと80年代後期のタックヘッドがルーツ・ダブの精神で溶け合っているかの如き。破壊的なレイヴ・スタブも飛び出す、かなり意欲的な一曲でテンションも異様なまでに高い。今作はFFFのターニング・ポイントに位置する非常に重要な作品だ。モッシュ少年だったのが、音楽の可能性を探るうち「作曲家」へと変貌を遂げた感もある。
これまでのキャリアではフットワークの良さと、ユーモアの精神が重要な要素だったのが、今作ではダークで実験的な面にフォーカスが当てられている。
ブライアン・イーノとデヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)の共作"My life in the bush of ghosts"(1981年の作品なのだが、非常に興味深い内容なので、是非ともチェックしてもらいたい!)を早回しにし、割れたアーメンブレイクをブチ込んだ様な⑧には驚いた。この曲名が"the other side"という事からすると、どうもFFFは「今までの俺とは違うんだぜ」と主張している様に思えて仕方がない。
確かにダークな曲調のものは多いが、テンションが高いので「暗い」わけではない。嬉々としながら作曲に向かっている彼の姿が目に浮かぶ。

⑤はドイツ、ライプツィヒの「ジャータリ」を運営する「ディスラプト」を彷彿とさせるチープなダンスホールのループから始まる。その後の展開は...なのだが、アルバム一枚を通して聴くと、緩急のバランスがとれており、またもスキルアップを感じさる。⑥「アーメン・ソルジャーV.I.P.」などを聴くと、ハードコア・ジャングリスト達の心の拠り所を感じてしまう。FFFは、90年代初期のレイヴ〜ジャングルをずっとリビルドしている、という側面を忘れてはいけない。

CD版にのみ収録の10,11曲目はサイケアウツ・ゴーストによるリミックス。アーメン炸裂かと思いきや、このアルバムに漂う不穏な80'sニューウェーヴの空気を読み取ったディープで、スモーキンな出来具合。サスガの嗅覚!

サンプリング・ソースの違いだけではなく、FFFの2016年作は彼の内面の変化がダイレクトに反映された非常に興味深い作品だ。ネクスト・ステージへと己を上げる姿勢がビシビシと一音一音から伝わってくる。そこで我々は気付かされる。FFFはアーティストなのだと。今後の彼のサウンドにさらなる期待が高まる。
- TEXT By GEODEZIK

MURCD-037 / THE TEKNOIST - 11 YEARS OF NINJAS, SAMURAIS & ZOMBIES

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ハードコアを主体としながらドラムンベースとエレクトロニカの要素を多く含みメロディアスな楽曲スタイルを確立し、長年に渡ってイギリスを中心に世界中のダンスフロアを熱狂させているハードコア・アーティスト、"The Teknoist"による初のベストアルバム!

自身が運営するレーベル"Ninja Columbo"と"Samurai Brylkreem"からリリースされていた現在は入手不可能となっている音源を多数収録!
The Teknoistの10年以上に渡る活動とUKのハードコア・シーンの歴史を体感出来る1枚!

アーティスト : THE TEKNOIST
タイトル : 11 YEARS OF NINJAS, SAMURAIS & ZOMBIES
レーベル : MURDER CHANNEL
品番 : MURCD-037
価格: 1000円(税抜)
発売日: 7月5日
Track List
01. THE TEKNOIST - STATEMENT OF INTENTIONAL BITTERNESS (the re-rage)
02. THE TEKNOIST & KITECH - COMBO KILLERS
03. THE TEKNOIST - LION GIRL
04. THE TEKNOIST - VICIOUS & CANNIBALISTIC
05. THE TEKNOIST & JOHNTY WARRIOR - CHOP YOUR CHIN
06. THE TEKNOIST - RASTAFROGIAN BAYCORE
07. THE TEKNOIST & MACHEEEN BOI - DANIMAL
08. THE TEKNOIST - CEPHALOPOD CARNAGE VIP
09. THE TEKNOIST - THE CRYING CHIMERA
10. THE TEKNOIST - OUR STYLE ACTUALY
11. THE TEKNOIST - WIKYLEPEDIA
12. THE TEKNOIST & JOHNTY WARRIOR - LIKE A WHIRLWIND MADE OF ZOMBIES

「ニンジャ」に「サムライ」と、オールドスクールな誤解された日本を意識したタイトルがまず最高。単にレーベル名のアタマを取ったのでしょうが。そもそも「誤解された日本」を好むアーティストはハードコア界には多いですね。それに「ゾンビ」。
ケミカルテイストなジャンク・フードに安酒で夜中にこれを聴きながらヘドバンしてる若者達(ちょいナードな)が目に浮かばせるところが何とも素敵。さすがジェントルの国イギリス産!ってちょい違う気が...。
確かにTEKNOISTの曲には敷居の高 いエレクトロニカの要素もミックスされているのですが、それをナードに落とし込むスキルとセンスがビシバシ感じられます。あ、イイ人なんだろうな〜と思わせるのがジェントル云々の所以です。

ヴォイス・サンプル、シンセ・ストリングスの多用が映画オタクです!というのが滲み出ているのも好感が持てますな。⑤の何かのヒップホップ?からかっぱらったと思われるネタ”Bang your head !"はアレク・エンパイア師匠もソロ名義の曲で使ってますが、元ネタが知りたいところ!
ヒップホップとハードコアと言えばHellfishですが(常識!)、まずキャリアのスタートは彼に認められ名門”DEATHCHANT”から03年に第一発目のシングルを発表。翌年には自身の"NINJA COLUMBO"をブチ上げ、自分の作品や、DOLPHIN、SCHEME BOYなどもリリース。
ターニング・ポイントは06年にはエレクロトニック・ミュージックシーンの代表的なレーベルである"Planet-Mu"からのシングル・リリース。 今や一人勝ち状態のプラミューからもリリースしていたんですね。10年経った現在では信じられませんが、電子音楽のバブル期でしたね。

⑥はストリーミングの海賊ラジオをDAWにブチ込んだらバグってPCが勝手に作曲してしまった!というナード極まり無いスタイル!こういうのがハードコア〜電子音楽の楽しさの頂点に近い気がしますねえ。実に良い。スキルの高さを冗談混じりに魅せるTEKNOISTの世界に酔いしれてしまいます。

そのハイ・スキルとセンスに裏付けされたTEKNOISTの楽曲群は安定感が約束されています。ですが、次に何が飛び出すか予測がつかないのも事実。
ネクスト・ステージに連れて行ってくれる事を願いつつ、まずは、このベスト盤で彼を讃えましょう!
ハードコア・テクノって何?な方にもこれは自信を持ってオススメできる事を最後に付け加えます!
- TEXT By GEODEZIK

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