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MxCx Interview Vol.7 - Jamie Teasdale (Kuedo / Vex'd)

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グライム/ダブステップ・シーン創成期から「Vex'd」として数多くのクラシックを世に残し、様々なジャンルに影響を与えたパイオニアであり、現在は「Kuedo」として新たなスタイルで活動する「Jamie Teasdale」のインタビューを公開!

2004年にUKのSubtext(現在はVex'dの片割れであるRoly PorterやEmptyset、Paul Jebanasamなどのモダンクラシック~インダストリアルを中心にリリース)からVex'dのデビューシングル「Pop Pop / Canyon」でシーンに登場し、続けて同レーベルから「Lion / Ghost」をリリース。当初はダークでハードなBreaks~UK Garageなステイルで話題を集めていましたが、05年にPlanet-muからリリースされたGrimeクラシックの「Gunman / Smart Bomb」でアンダーグラウンド・ベースミュージックシーンに衝撃を与えました。

そして、05年にPlanet-muからリリースされたVex'dのデビューアルバムにして00年代を代表する超名盤アルバム「Degenerate」を発表。Pop Pop V.I.P.、Angels、 Corridor、Fire、Lion V.I.P.などなど、収録曲すべてが衝撃的な内容で、リリースから8年が立った今でもまったく色あせない最高のアルバムであり、様々なジャンルのリスナーに支持された結果、Grime/Dubstepというジャンルの知名度をいっきに世界に知らしめた歴史的名盤でもあります。

その後はNadjaやPlaidへのリミックス提供をおこない、08年にPlanet-muから「3rd Choice」をリリース。09年にJamie Teasdaleは初のソロ音源を「Jamie Vexd」名義でPlanet-muから「In System Travel E.P.」をリリース。2010年にはコンピレーション的な内容となったVex'dの2ndアルバム「Cloud Seed」をリリース。Warrior QueenやAnnekaがボーカルで参加し、更に深みを増し、ドローンやノイズ、ブレイクコア的な過激なサウンドを多く取り入れた傑作アルバムになっています。

そして、2010年に「Kuedo」としての活動を始め、「Dream Sequence E.P.」をリリース。2011年にリリースされたKuedoのデビューアルバム「Severant」は大手メディアからレコードショップ、DJ、そして世界中の純粋な音楽好きに絶賛され、2011年を代表する名盤アルバムとなりました。

今回公開するJamie TeasdaleへのインタビューではVex'dの結成当初の話からGrime/Dubstepの話、曲作りに関してなど様々な話をお聞きしました!

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※こちらのインタビュー記事は2011年にMHzが発行したフリーペーパー「MHzine Vol.1」に収録された物になります※
※このインタビューは2011年1月18日におこなわれました※

Q1.貴方のバックグラウンドを教えてください。何歳ごろから楽曲製作を開始しましたか?

- 12歳頃、ダブルカセットレコーダーで人の曲を編集して遊んでた。
数年後、amiga trackerで曲をつくりはじめた。16歳からDJを始めて曲作りはやめた。
20代前半から再び曲作りをスタート。これで、やっときちんと制作をスタートした気がする。

Q2.どんな音楽に影響を受けていますか?

- 人生で一番影響を受けたのはヒップホップ、UKレイブミュージック、エレクトロニック・シンセ。
他にもいろいろ通ったけど、結局はこの3つ。

Q3.日本の音楽を聴いていましたか?

- もちろん。日本は良い音楽が沢山あるから。
DJ Krush、DJ Bakuのヒップホップをかなり聴いた。竹村延和、Goth-Tradとかのエレクロニック系も聴いた。
あと、伝統音楽。琴や太鼓、歌舞伎も好きだよ。

Q4.音楽以外に影響を受けたものは何ですか?

- Blade Runner!この映画を見てなかったら、今みたいな音楽を作ってない。
あと、SF映画やアニメも、想像を形にするために役立つ。
音楽とそれ用の絵のインスピレーションを得るのに、アートや写真に目を向けるようになったな。

Q5.最初にDubstep/Grimeを聴いたのはいつごろでしたか?

- 2002年くらいから、僕もRoly(Roly Porter)もダークでインスト気味なガレージを聴いてて、
そこからいきなりGimeとDubstepに走ったんだ。

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Q6.Vex'dをはじめたキッカケを教えてください。

- 2003年頃、Rolyと僕が一緒に住んでたのがきっかけ。
当時のレイブミュージックは、大人しくて味気なくて、相当つまらなかった。
Vex'dでそういうのをひっくり返そうとした。何かやってやろうって燃えてた。

Q7. "Roly Porter"とは何処で出会いましたか?

- 高校。

Q8.Vex'dは結成当時どんな音楽を作っていましたか?

- 最初の方はかなりダーク。最近のRedlightと少し似てるかも。
ノッティングヒルカーニバルのサウンドシステムで聴くようなタフなパーティを前提に、レイブミュージックを作った。


Q9. どんな工程で楽曲は作られていましたか?Rolyとの曲作りはデータのやり取りでしたか?それともスタジオで録音作業をおこなっていましたか?

- 一緒に全部作る曲もあれば、別々に作る曲もあるよ。
最後のエンジニア的な作業は僕の役目だけど、別に必要ない時もある。例えばKilling Floorは、Rolyの作業で終わってる。


Q10.ファーストアルバム「Degenerate」が出来るまでの過程を教えてください。はじめからGrime/Dubstepのアルバムを作ろうと考えていましたか?

- Vex'dの音楽をGrime/Dubstepにする予定はなかった。とにかくVex'dのアルバムを作ろうとした。
もちろんアルバムに反映されてないアイデアもたくさんあった。
すごいダブとかヒップホップっぽいのとか、アンビエントっぽいアイデアもあって、ラッパーと一緒にやったりもした。
けど結局アルバム用に選んだ曲はポストガレージ系みたいな音で一緒に作ったやつだった。
で、最終的にはGrime/Dubstepなアルバムに仕上がって、まさに偶然、ぼくらはそのシーンの一部になってたんだ。

Q11.Degenerateは2000年代のUKミュージックのベストアルバムだと思います。この時期(2000年)にはGrime/DubstepのCDでのリリースは非常に少なかったです。(Grime/Dubstepの作品は殆どレコードでした)
このアルバムをキッカケにGrime/Dubstepを知った人も多いと思います。アルバムには多くのドローン~ノイズの要素が使われれていますが、貴方達はダンスミュージックとノイズミュージックを合体させようと計算していましたか?どんな音楽スタイルを目的としていましたか?

- このアルバムは実験的な意図で作った。
リリースされてない初期のVex'dは、ノイズ要素は少なかった。
でも、当時のロンドンのダンス系クラブがあまりにつまらなかったから、2004年頃はノイズ。
メタルバーやクラブに2人で通ってたから、メタルノイズの影響を受けたんだ。
その頃、Planet-Muと契約した。Planet-Muのことは知らなかったけど、僕らをクレイジーな世界に導いてくれた。
以前は知らなかった、ノイジーエレクトリックミュージックとか、その面白さとか。
あと、Degenerateを作ってた当時、僕はちょうど短期間のサウンドデザイン学校を修了したばかりだったんだけど、学校の生徒からMerzbowとかのすごいノイズものも教えてもらった。
だから、ちょうどインスパイヤされたばかりのノイズ要素を取り入れて、純粋なUKレイブアルバムを作るのが面白いだろうってことになった。
みんなは僕らをゴスでノイズな連中だと思っているけど、実際は僕らはそういう音楽のことを全然知らなかったんだ。
今思い出しても、面白いな…。だけど、今や、ゴスノイズが僕らの定義だもんね。


Q12.このアルバムのジャケットに使われている絵は何ですか?

- 1920年代の古い映画のワンシーン。

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Q13.何故、Planet-Muから作品をリリースする事になったのでしょうか?Mike Paradinasとは何処で出会ったのですか?

- 僕らの友達のRob (DJ Pinch)がPlanet-Muにトラックを送って、Planet-Muが僕らにアルバムを作らないかと言ってきた。
それから、Mikeに合った。南ロンドンに僕が借りてたスタジオに彼がやってきたんだ。
僕はレーベルのことは何も知らなかったけど、Mikeはたくさん音楽を教えてくれて面白かったよ。

Q14.Vex'dはdubstepシーンを作った貴重なアーティストの一人です。
2003~2004年ごろはどんなPartyに出演していましたか?その時にはdubstepのparty(シーン)はありましたか?

- 当時、シーンと言えばPlastic PeopleでオーガナイズされていたFORWARDだけだったよ。
客が40人だけの日もあったけど、当時は世界唯一のdubstepパーティーだった。
DMZがはじまるまで、ロンドンのdubstep系のイベントはどれも短命だった。

Q15.dubstepのアーティストでリスペクトしているのは誰ですか?

- 2004-2006年だと、Kode 9、本気でリスペクト。彼は本当にいろんな音楽に詳しい。
彼はアバンギャルドも好きだったと思うけど、特に最新の海賊ラジオで流れるレイブミュージックを気に入ってた。
あと、Wileyも明確なビジョンを持っててすごいと思った。
Loefahの作品はかなりショッキングで、彼本人と音楽の話をするのもかなり面白い。

Q16.貴方の考えるdubstep/grimeなどのベースミュージックの良さとは何ですか?

- 僕が思うに、Dubstep/Grimeなどのベースミュージックの良さは、ジャングルやアシッドハウス、新しいロンドンのハウス系音楽がすべてひとつの流れから発生していて、その全体像が好き。

Q17. 現在のDubstep/Grimeなどのベースミュージックシーンをどう思いますか?

- dubstepに関して、僕はもう別の世界にいる。もはや成長とともに離れた古い友人とか、元カノみたいな感じ。
だけど、raveは違う。
広い意味でベースミュージックを考えると、raveはいつもレベルが高くて新しい音楽を数多く生みだしてる。
Night Slugs、Hyperdub、Swamp 81は本当にハイレベルな新しい音楽を作ってると思う。

Q18.Vex'dのセカンドアルバム「Cloud」が出来上がるまでを教えてください。いつごろから製作を開始していましたか?

- 2006年後半~2007年半ば。


Q19.貴方のソロプロジェクト「Kuedo」はVex'dと違って非常にメロディアスです。「Kuedo」のテーマは何ですか?

- KuedoとVex'dは、正反対。
Kuedoはメロディアスで、時々ロマンチック。Vex'dの音楽は慎重にプログラムされてるけど、Kuedoはもっと人間的な感情も入ってる。
全体を通して自然に身体がうごくまま演奏して、レコーディングした。
Vex'dは2人の人間による共同プロジェクトだから、個人的意見よりもコンセプトを重視してることがKuedoと全然違う。
たぶんVex'dの作業は、映画の台本づくりに似てると思う。KuedoもVex'dも、どっちも未来派主義なんだ。

Q20.Vex'dの新作と、Kuedoのアルバムのリリース予定はありますか?

- Vex'dは未定。
最近、僕らの音楽は別の方向性を目指してるんだ。いつかまた同じインスピレーションを持ったら、また新作を作るだろうね。
だけど今は予定してない。そしてKuedoのアルバムを今つくってるんだ。

Q21.貴方が音楽制作で使っている機材を教えてください。どんなPCソフトを使っていますか?

- 毎年違うのを使ってるから、Ableton、Logic、tractor、MPCとか、今までいろいろ使ってきた。
僕は新しい技術を試したり、常に変化することが好きだんだ。だから、僕が今話してる事も、年末になれば変わってると思う。
将来的にはもっと普遍的なものを見つけるかもしれないけどね。

Q22.貴方は今までに多くのCD、レコードをリリースしてきました。デジタルリリースをどう思いますか?
これからもCD、LPなどの文化は残ると思いますか?

- 人間はいつでも、何かしら物的なつながりを必要としてる。
けど、それはあくまで愛情やアイデンティティーに関わってくるような、本当に大切なものに対する欲求。
レコードやカセットテープがみんなに愛されてきたようなつながりはデジタルファイルにはないけど、デジタルリリースの方が便利だよね。
けど、とても気に入ってるアルバムがあったらみんな物としてほしくなるはず。
特にそのアートワークが美しければ美しい程、音楽もより鮮やかな存在になるし。
将来誰かがみんなを満足させるような新しい物体メディアを作ってくれたらいいな、と願ってる。
けどそれまでは物がほしい人はレコードやCDなんかを買うだろう。
ちなみに、カセットテープも復活してきてるよね。かっこいいし、すごく良い傾向だよね。

Q23.貴方の思う理想の音楽シーンを教えてください。マーケット、リスナーにどんなことを求めますか?

- 僕は『良いものつくるぞ』とかいう健全な理由の下でアートや音楽をつくるのが好きなんだ。
音楽が、別の興味を持つ人間のなかで人気になってきてるのは残念だと思ってる。
hype machineは、何でもかんでも素晴らしいとか言って、本物を見つけるのを困難にしたと思う。
僕は、もう新しい音楽を信じなくなった人たちを知ってて、それはもったいなくて残念だと思ってる。
音楽をつくってることのもう一つの素晴らしさは、自分以外に音楽をつくってる人に出会えることだと思う。
それによって、本物のアーティストや、とにかくすごいアーティスト、あとは、意味のある音楽をつくれる人なんかに出会える。
有名になるためじゃなくて、すばらしい作品をつくるためにやってる人たちさ。
そういう人は信じちゃうよね。
そして結局大切なことは、そういうアーティストのレコードを買って支えること。大事だってわかるよね?

Q24 日本のリスナーにメッセージをください

- 今年、日本に行けたらいいな。みんなに会えますように!
あと、僕の音楽を聴いてくれて本当にありがとう!

Kuedo
https://soundcloud.com/kuedo
https://www.facebook.com/kuedo

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

MxCx Interview Vol.6 - FFF

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Murder Channelにとって欠かせない最重要アーティスト「FFF」の本邦初公開になるインタビューを公開!
2006年にMurder Channelのパーティーへの出演の為に初来日、その後の2008年に再度来日し、DJ TECHNORCH、OVe-NaXxとFFFの3組で東京、金沢、静岡、福岡でライブを決行。
2011年には1stアルバム「20.000 hardcore members can't be wrong」をMurder Channelからリリース、続けてDieTRAXとのスプリットアルバム「Hiroshima vs Rotterdam」を発表し、世界中のRave Jungle、Breakcore、Raggacore好きに絶賛を得ました。

先月にはDieTRAXとのスプリット第二弾「広島死闘篇~Hiroshima Deathmatch~」をリリース、夏前にはMurder Channelからの2ndアルバム、そして、PRSPCTのサブレーベル「PRSPCT RVLT」からのリリースを控えており、今年も彼の活躍に目が離せません!
Breakcore/Raggacore、そしてRavecoreの開拓者であるFFFのルーツに迫るインタビュー記事となりました。是非ご覧下さい!

■FFF
Mike Paradinas(µ-Ziq/Planet-Mu)から絶賛され、Jason ForrestやShitmatなどのアーティスト達も多大な影響を受けたと公言しているほど、シーンでの信頼は厚い希代のラガコア/レイブコア・クリエイター「FFF」
初期のUKレイブ/ジャングル/デジタルハードコアなどに影響を受け90年代後半から楽曲勢作を開始。ブレイクコア/ラガジャングルを中心にエクスペリメンタル、スピードコア、ノイズなどの実験的な作品も製作し、様々な国のレーベルから作品をリリース。
大型フェスティバルへの出演や日本、イスラエル、アメリカでのツアーなど、各国のオーディエンス、アーティスト達から大きな評価を得ている。
07年にはPLANET-MUより12"inchiを発表、その他にもMunchi、Bong-Ra、DJ TECHNORCH、m1dy、Hondaladyのリミックス制作、そして2011年にはMURDER CHANNELより初のフルアルバ「20.000 hardcore members can't be wrong」、DieTRAXとのスプリットアルバム「Hiroshima vs Rotterdam」を発表。
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※このインタビューは2013年1月21日に行われた物になります※

Q1 貴方の出身地について教えてください。
生まれも育ちもオランダですか?

- うん、生まれてからずっとオランダ。生まれてから19歳までフリッシンゲンにいて、その後ロッテルダムに引っ越して、そのままずっと住んでる。ロッテルダムは、引っ越し当初ほどでは無いけども、でも良い街だよ。ハコの数は随分減ったけど、でもまだ優良な音楽シーンは残ってるし。過去数年間のうちに良いハコがたくさん倒産しちゃったのは、悲しいことだけど。でも、それでも数多くの人々が素晴らしい音楽やレーベルを作ってるのは確かだよ。

Q2 貴方の音楽のルーツを教えてください。
いつ音楽に興味を持ちましたか?最初に買ったレコードは何ですか?
最も影響を受けたアーティストは誰ですか?

- 僕は物心ついた時から音楽に興味があって、レコードも小さい時から買い(集め)始めてた。最初に買ったのはメタルのレコードだったんだけど、家族に取り上げられちゃった(主にハードロック、サイケデリックロック)。それから、10歳くらいの時に、いとこがヒップホップとかダンスホール系やオランダの "turn up the bass" 系(広範囲のダンスミュージックをフィーチャーしてる)コンピのテープを作ってくれた。あとは、ご近所さんが(その人は大量の音楽をコレクションしてて、音楽センスも最高だった)いつも僕の両親にレコードやCDを貸してくれてたんだけど、いつしか僕にもCDをくれるようになった。(KLFからThe Residents、ハードコアパンク系に至るまで何でも。)これがきっかけで、いろんな音楽にすごく興味を持つようになった。Rave系のレコードを1991年くらいから買うようになって、初のミキサーもこの時期購入した。そして、学校や誕生会のパーティーで友達とDJを始めた。これが転機だったと思う。それ以来、DJが僕の最優先事項になったからね。

- 僕が今に至るまでに影響を受けたアーティストは、数が多過ぎてとても全部は挙げられないけど。
特に重要なアーティストだけを列挙:
Bizzy B、KLF、全てのRiot Beats/DHRシーンのアーティスト、Kevin Saunderson、etc.

Q3 貴方の音楽からは"Rave"と"Jungle"の要素を強く感じますが、これらの音楽はリアルタイムで聴いていましたか?
Rave、Jungleのパーティーには遊びに行っていましたか?

- 前述の通り、小さいときからそういう音楽を聴いてはいたけど、でも、まだ当時は若すぎて、そういうパーティーに行けなかった。でも、行ける年齢になってからは、もちろん地元のRaveパーティーに行ったよ。Jungle系が来たら、ちょっと離れた地域にまで聴きに行ったりもした。でも、悲しい事に、UKの巨大Raveにはまだ一度も行って無い。

Q4 貴方のお気に入りのレコードを10枚教えてください。

- かなり厳選の10枚!!何時間でも聴いてられる…。

Inner city - Praise
Altern 8 - Full On Mask Hysteria
The KLF - Chill Out
Shag 'n' Skoob – Skooby Chewnz Vol. 1
Jungle House Crew – Total Kaos E.P
Various – Great British M.C.'s
LFO – Frequencies
Code 6 – Untitled
Edge Of Motion – Motionz Beyond
Noise Factory – Set Me Free / Bring Forward The Noise

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Q5 いつから楽曲制作、そしてFFFの活動はいつ頃から開始しましたか?名前の由来は?
97年にカセットアルバム"Suicide"をリリースしていますが、これが最初の作品ですか?当時はどんな機材を使用していましたか?
貴方は自主レーベル"Orange Socks"を当時スタートさせていますが、レーベルを始めたきっかけを教えてください。

- DJを始めた頃に、作曲も開始した。とはいえ、まだ家にパソコンが無かったから、最初は友達の家のPCソフトのトラック上で遊んでただけなんだけど。それから、僕はパソコン以外の方法で曲を作るようになった。まず、カセットにループを録音して、それを自分のウォークマンから再生して、そこに妹のキーボードで演奏して。テープループや、フィードバックなんかも使った。どれもすごくノイジーだった…。その後の90年代半ばに、僕の両親が初めてパソコンを買って、それから僕は「FFF」としての活動をスタートした。

- 名前の由来は、当時人気があったFasttracker 2っていうソフトだよ。僕は、1列に255目盛りを設定してた(つまり、とことん速くしたってこと。)

- そう、カセットアルバム"Suicide"が僕の最初のリリース。
使用機材は、補助的に使ったギターエフェクトペダルと、あとは全てPCの中のFasttracker 2。
レーベル"Orange Socks"をつくったきっかけは、友達や自分の音楽をリリースするためだった。それから、気が会う人々にも出会うようになったから、彼らの音源もリリースした。

Q6 FFFは"Breakcore"のアーティストだと認識されているようですが、自分自信を"Breakcore"のアーティストだと思いますか?

- うん、自分は"Breakcore"のアーティストだと思う。僕が思うに、"Breakcore"という言葉は、もう完全に元の意味とは違っている。最近では、様々なスタイルが融合したものの集合体を意味していると思う。最近の意味での"Breakcore"と僕の音楽は、ちょっと違うんだけど、本来の"Breakcore"って言葉が持ってた意味では、僕は"Breakcore"のアーティストだ。

Q7 貴方が「Bong-Ra」と一緒にオーガナイズしていたパーティー"Breakcore a Go-Go!" について教えてください。
Bong-Raとはいつ頃出会いましたか?"Breakcore a Go-Go!" には、どんなアーティストが出演しましたか?

- Bong-Raとの最初の出会いは、僕の初ライブでもある2001年のロッテルダムのW‪aterfrontでの‬パーティーだった。

僕らは2人とも、同じ音楽に興味があった。そこで、当時の彼のマネージャー(Waterfrontクラブのプロモーター)が僕らにWaterfrontロッテルダムで夜のイベントをしないかと誘ってきた。これが"Breakcore a Go-Go!"の始まり。パーティーはどれも楽しかった、いつも好きなアーティストをたくさんブッキングしてて。しかも、多くの人にとって、あのパーティーが"Breakcore"への最初の入り口にもなってた。当時パーティーに関わってた多くの連中とは、今でも一緒に仕事をしてる。

BCGG出演アーティスト:
DJ Scud, Aphasic, Parasite, Eitherherd,Society Suckers, Rotator, Christoph Fringeli, Hecate, Christoph de Babalon, Dev Null, Xanopticon,Electric Kettle, Copacod, Sickboy, Dionysosとか、全員は覚えきれてないけど。あの時期は素晴らしかった!!すげぇパーティー三昧の日々。

Q8 2007年に 12"レコード"The Feeling" をPlanet-Muからリリースされましたが、どうやってリリースが決まったのでしょうか?

- Mike ParadinasがThe Doubtful GuestとPisstankを通じて僕の音楽を聴いた。
そしてある日、彼が僕にメールをくれて、"the feeling"をリリースしたいと言った。

Q9 現在の楽曲制作に使用している機材について教えてください。曲作りにおいてポリシーやルールはありますか?
曲を作る時は最初にビートから作りますか?それともメロディーやベースからですか?
ベースの音はどのように作りますか?

- 主にRenoiseを使用。 ルールは無い。制作過程は毎回違ってて、ビートから作り始めるときもあれば、リフから作り始める事もある。ベースの音はVSTかサンプルで作ってる。

Q10 FFFの音楽はDJに使いやすいと思います。DJの視点で曲を作ったりしますか?
貴方は"Amen" を多くの曲で使っています。貴方の思う"Amen" の魅力を教えてください。

- 僕は必要性があって音楽を作ってる。もしDJが僕の音をかけたいとしたら、それは素晴らしい事だけど、作曲の際は、DJのことはそこまで気にしない。多くの人はAmen Breakは使われ過ぎてると思ってるんだろうけど、それでもまだ僕は好きなんだ。このブレイクには、何かしらの魔法みたいなものがあると思うんだ。

Q11 貴方はレコードコレクターらしいですが、現在どれくらいのレコードを所有してますか?
今もレコードからサンプリングしていますか?
貴方が持っているレコードの中で最も希少なレコードを教えてください。

- 多分5000枚くらい。
うん、今もサンプルしてる。僕にとって、レコードのサンプルは重要。フリマやレコードフェア、そしてレコード屋をまわるのは、すごく新曲作りの刺激になる。

僕のコレクションはこんな感じ:
Bruce Haack – The Electric Lucifer (Columbia – CS 9991)
Mega City 2 – Nightwalker (Extra Terrestrial Recordings – ETR 2)
Ruth White – Flowers Of Evil (Limelight – LS 86066)
Gershwin – Solar Energy / Luminous (Suntribe Records – STAK 02)
Ataraxia – The Unexplained (RCA – APL1-1217)
B-Free – B-Free E.P. (WSCM 1)

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Q12 過去に2度来日していますね。日本の印象を教えてください。

- すごく好き!!!良い人が多いし、パーティーも良いし、音楽も凄いのが沢山あるし。2度とも驚く程、楽しかったし、やり過ぎなまでに良い音楽に溢れてた!!素晴らしい国だよね。世界一ぶっとんだレコード屋やオモチャ屋もあって。あと、街の至る所にキャラクターがあるよね、あれも良いね。

Q13 貴方は毎年、非常に沢山Liveをしていますね、Liveで大事にしている事は何ですか?
多くのフェスティバルやパーティーにLive出演されているわけですが、最も印象に残っているLiveについて教えて下さい。

- 一番大事なのは、楽しむ事、良い音であること、盛り上がった気持ちでソフトや機材をいじる事。
印象に残ってるライブは山ほどあるんだけど、敢えて気に入ってるライブ体験を挙げるなら、:
Bangface weekender (and regular Bangface nights), Ravers Convention (liveset together with Pisstank), Murder Channel, Metropolis festival,Untitled Moscow, Oakgas, などなど。

Q14 現在のオランダのシーンをどう思いますか?
オランダは「Gabber」の印象が強いですが、「Jungle」のシーンやクリエイターもいるのでしょうか?
貴方のお気に入りのオランダ人アーティストを教えてください。

- オランダでは、Gabber(もしくは、全ての4/4強打系)は本当に随時人気だ。BreakcoreのパーティーやDrum & Bassのパーティーの中にもGabberは存在してるし、その影響は至る所に現れてる。
Jungleのシーンはここ数年でどんどん成長してる。2012年は間違いなく新しいDJやアーティスト、団体等が現れた年だったと感じた。

現在のお気に入りのアーティストは:

Apzolut
http://soundcloud.com/apzolut
Junglefever
http://soundcloud.com/junglefever
Newk
http://soundcloud.com/newk
Copacod
http://soundcloud.com/copacod
Deformer
http://www.redrumrecordz.com/
Monotron_nl
http://soundcloud.com/monotron-nl
Capslock
http://soundcloud.com/joriscapslock

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Q15 「Encounters Records」を始めたきっかけと、レーベルコンセプトを教えて下さい。

- レーベルを作った最大の理由は、僕らが好きな人が作った音をリリースしたかったから。僕らのシーンや仲間には、素晴らしい音楽を作ってるヤツが山ほど居る。だが、彼らの音楽は殆ど知られていない。だから、そういう音楽をもっと表に出したいと思ったのがきっかけだ。

Q16 今後のリリーススケジュールを教えてください。

- 現在計画中のリリース:
Murder ChannelからDieTraxとの二度目のコラボレーション・アルバム、PRSPCT RVLT、MindbunnyとMurder Channel、そしてVoodoo Magicからの12"レコード。
新しいフルレングスをMurder Channelから。その後は、リミックスとコンピがいくつか。

FFF
https://soundcloud.com/f-f-f
http://fffmusic.bandcamp.com/
http://www.facebook.com/tripletimesf

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

MxCx Interview Vol.5 - Sinister Souls

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昨年最もハードコアでハイクオリティーなベースミュージックを多数発表し、12月にリリースしたDJ TECHNORCHのEP「変身 第一形態~The Metamorphosis 1st Form~ 」にも強烈なリミックスを提供してくれたオランダのHardcore Drum & Bass/Dubstepユニット「Sinister Souls」にインタビュー致しました!Corestepの誕生秘話や現在のオランダのシーンなど、興味深い話が沢山聞けました!
つい先日、新しいMIX音源が公開されてましたので、是非MIXを聴きながらインタビューを読んでみてください!



■Sinister Souls
現在最もハードコアで最先端なベースミュージックを作り出すオランダのハード・ダブステップ/ドラムンベース・ユニット「Sinister Souls」
Adriaan de KoningとFred Huurdemanの2人によるSinister Soulsは2009年にカナダのRottun Recordingsからデビュー作「Definition of Silence」を発表、その後もWicky Lindows、S.C.U.M.、Section8からのリリースや超大規模ダンスミュージック・フェスティバル「Qore 3.0」のオフィシャル・アンセム「The Highest Technology」のリリース、Counterstrike、Robokop&Distrikt、Mike NRGのリミックスで注目を集め、2012年9月に待望の1stアルバム「Beat The Drum Hard Album」をPRSPCTから発表。
ダブステップ、ドラムンベースなどのベースミュージックとハードコア・テクノ、ブレイクコアを独自のビジョンでミックスさせたハイクオリティーな楽曲は世界中のフロアを熱狂させている。
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※このインタビューは2012年12月31日に行われた物になります※

Q1 出身地と年齢を教えてください。

- 25歳と27歳だから、2人合わせて52歳。
2人とも、オランダの中心、ユトレヒトのアンダーワールド在住。

Q2 Sinister Soulsの結成について教えてください。
貴方達 (Adriaan de Koning & Fred Huurdeman) はいつ出会いましたか?
いつ頃、Sinister Soulsをスタートさせましたか?

- 僕らはオランダのドラムンベースシーンの中で出会った。
2人とも地元でDJをやってて、お互いが切磋琢磨できるアーティスト同士でもあった。
2008年に、一緒にライブをするって決めた時、Sinister Soulsが始まった。
2人とも、ドラムンベースの中でも、好きなサブジャンルが同じだったから、まさに「出会うべくして出会った2人」って感じだった。

Q3 貴方達の音楽のルーツを教えてください。
どんなアーティスト、ジャンルに影響を受けていますか?

- Drum & Bass、Dubstep、Breakcore、Tekno、TechnoからHardcoreに至るまで、多様なジャンルからインスピレーションを受けてる。
影響を受けたアーティストは、Black Sun Empire、Bong-Ra、Noisia、The Prodigy、Spor、Concord Dawn等。郷愁に充ちたアーティストが特に多いかも。


Q5 貴方達のデビュー作"Definition of Silence"はRottun Recordingsからリリースされていますが、Rottun Recordingsからのデビューは、どのように決まったのでしょうか?

- EPのうちの1曲が、リリースした時beat portで5位になった。
まずそれによって、ROTTUNみたいな大きなレーベルからもフルアルバムを出せるチャンスの扉が開いた。

Q6 Sinister Soulsは "Dubstep"のアーティストでもあると認識されているかと思います。
Dubstepとの出会いはいつ頃ですか?Dubstepを聴いた当初は、どう思いましたか?
"Gabber Kick"を”Dubstep”に使おうと思ったアイディアはどのように生まれたのでしょうか?

- ダブステップは、つい最近の2007年頃、ちょっと見え透いた感じに台頭してきたシーンだと、僕らは2人とも思ってた。
キック、クラップ、サブアレンジメントだけで出来てて、ダンスフロアを沸かせるために作られてわけでも無くて。
だから、僕らはDrum & Bass/Hardcore/Breakcoreの塊を、140bpmのDubstepに放り込んで、極悪にした。
当時、僕ら以外にそういう音楽をやってる人は居なかったから、これでハードコアダブステップの道が開いたんだと思う。


Q7 昨年9月に1stアルバム"Beat The Drum Hard Album"がリリースされましたが、完成までにどのくらいの時間が掛かりましたか?
コラボレーションするアーティスト達はどのように決めましたか?

- アルバムの完成までに1年半かかった。
実際、妙なことに最初に作ったのが“Beat The Drum Hard”だったんだけど、それと同時に、僕らは再びDrum & Bassを作り始めてて、曲が群を成していった。
ほとんどの曲はアルバムのために仕上げたわけじゃなくて、各曲の多様性に合わせて満足いくまで作り込んで完成させた。
数曲をPRSPCT labelのオーナーに送ったら、すぐに曲が気に入られて、快くPRSPCT ファミリーの一員にしてくれて、フルアルバムリリースのチャンスも与えてくれた。

コラボレーションに関しては、まず僕らの子ども時代からのヒーロー達に連絡を取り始めて、そこからコラボレーションに発展した。この過程は、本当に自然に進んだ。

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Q8 アルバムにはDrum & Bassの楽曲が多く収録されていますが、Drum & Bassシーンからの反応をどう感じますか?

- 素晴らしいことに、僕らのアルバムはDubstep、Drum & Bass、Hardcoreの、どのアーティストも聞いてくれてる。
このアルバムでは、特にDrum & Bassシーンの反応が良い。

Q9 Dubstep、Drum & Bass、Crossbreedなど、貴方達は多くのスタイルを持っていますが全てにおいてオリジナリティーがありますね。どうやってオリジナリティーを保っていますか?

- 単純なんだけど、まず、とにかく自分たちがやりたいことをやってみて、そして、その曲がもしダンスフロアで違和感を感じたら、すなわち僕らは良い仕事をしなかったと見なすんだ。

Q10 楽曲制作の過程を教えてください。
どんな機材(PCソフト、スピーカー、ヘッドフォン等)を使用していますか?
多くのリミックスとコラボレーション楽曲の制作も手がけていますが、リミックスとコラボレーション作業において大事にしている事は何ですか?
Sinister Soulsの作る"Gabber Kick"はとても素晴らしいですが、どのようにGabber Kickを作っているか、良かったら教えて下さい。

- 主に制作では、WindowsとAppleを使ってて、メインソフトは Ableton Live。
スタジオのスピーカーは、Adam-A7を2つとサブウーファー、そしてTC Electronics Impact Twinのオーディオインターフェースと、参照用のヘッドフォンを数個。制作の際はまずソフトウェアから使い始める、ていうのは、僕らオランダ人の手は大きすぎてハードウェアを壊しちゃうから。

リミックスする際に大事なのは、元の音が、跡形無くなるまでやめないこと。
コラボは、別の見解から曲を作って、知識を組み合わせて行くのが面白くて大事だと思う。

- で、さて、今からSinister Souls最大の秘密を教えるよ、僕らのHardcoreでGabberなキックの作り方だ。
その秘密はThe Hardcore Kicks VSTi 2と呼ばれるプラグインにある。
コンプレッサ、サイドチェインでレイヤーを適切に処理すれば、自分自信で素晴らしいサンプルが作れるんだ。
購入必須商品だよ、絶対買うべき。

Q11 現在のオランダのシーンをどう思いますか?お気に入りのオランダ人アーティストは?

- オランダは非常に多岐に渡って影響力を持つ電子音楽アーティストがたくさん居て、オランダ最大の輸出項目にもなってるくらい凄い。
僕らが絶賛するアーティストはBong-Ra, Black Sun Empire, PRSPCT レーベルのボスである Thrasher, Limewax, Deformer、そしてNoisia。
ちなみにオランダは、Drum & BassとDubstepのシーンがかなり大きいんだけど、そんな中PRSPCTは、ジャンルの垣根を飛び越えて強力なスタイル同士を融合して、半端無い破壊力のミサイルを作ってる。ジャンル不問に音楽を楽しむCrossbreedとか、Hardcore Drum & Bassのファン層(そういう風に名付けるのが好き)は、実際沢山居て、彼らのパーティーはかなり似てる。

Q12 今後のリリース・スケジュールを教えてください。

- 僕らは今、コラボレーションとオリジナル素材のアレンジを大幅に行ってる最中だ。
Algorythm recordingsからのDrum & BassのEPみたいに、bass-reesesなサウンドに戻ろうとしてて、Rottun recordingsからDrumstepのEPを出す予定。あと、もちろんPRSPCT recordingsからも、もっとハードコアな作品を出す予定だ。2013年は、計画とアイデアが目白押し。

日本の皆が、本当に僕らのサウンドを好いてくれてるってわかって、すごく光栄に思ってる。
来日ツアーも、僕らの夢の一つだから、近々叶ってほしい。

http://sinister-souls.com/
http://www.prspct.nl/

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

MxCx Interview Vol.4 - Kanji Kinetic

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Mutant Bass Records主宰、昨年リリースした「MURDER CHANNEL Compilation Vol.2」にもDJ100madoのリミックスで参加してくれたUKの極太ベースラインハウス/ミュータントベース・アーティスト「Kanji Kinetic」のロングインタビューを公開!

2008年に突如として現れ、Rag & Bone、Subgrade Recordsから強烈なエレクトロ・ベースラインチューンを立て続けに発表、たちまちUKのベースミュージック・シーンを代表するアーティストの一人となりました。
リミキサーとしても多数のオファーを受け、AC Slater、Kid606、Temper D、M-Project、Drop The Limeなどのアーティストのリミックスを制作。現在では「Mutant Bass Records」を立ち上げ、自身の作品やKrissi B、Rico Tubbs、Deadlybuzzの作品もリリースしており、ミュータントベース・シーンを盛り上げています。

Kanji Kineticの楽曲ではテクノ~ブレイクビーツ~ジューク~ジャングル~ハードコア~ドラムステップなどの要素を上手く飲み込んだオリジナリティ溢れるサウンドが満載です。
全世界の低音愛好家達のハートを掴んで離さない若き奇才に色々と質問させて頂きました!ジャンル関係なく、様々なリスナーが楽しめる楽曲が沢山ありますので、これを機にKanji Kinetic、そしてMutant Bass Recordsの作品も気になったら是非チェックしてみてください!
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※このインタビューは2011年12月2日に行われた物になります※

Kanji Kineticについて

Q 出身地について教えてください。DJや音楽活動は何処を拠点にしていましたか?

- ロンドンのすぐ郊外で育った。
あまり何も無い所だけどロンドンにはすぐに行けるから、かなり多くの時間はロンドンで過ごした。
最近はブリストルに住んでる。音楽シーンも日常の雰囲気も楽しんでる。

Q 貴方の音楽のバックグラウンドを教えてください。
何歳頃から音楽に興味がありましたか?最初に買ったレコードを覚えてますか?

- うちは音楽一家だったから、小さい頃から音楽を作るチャンスがたくさんあった。
ピアノやドラムを演奏したりしてて、MTRもかなり早い時期から使ってた。
最初に買ったのは‪N-Trance - Set You Freeという曲のカセットとDoctor Spin - Tetris、
あとはNirvana - Bleachだったと思う。

Q 貴方の音楽からはベースラインハウス、スピードガラージ、テクノ、ダブステップ、などからの影響を感じます。
特にベースラインハウスからの影響を強く感じますが、ベースラインハウスを最初に聴いたのは何時ですか?

- ダンスミュージックは結構何でも好きで、長い期間かけて自分のスタイルを探索した。
各ジャンルの気に入ってる要素を、自分の音の中で合体させてみたりして。
ちなみに、ベースラインハウスは北イングランド(俺は南に居た)のクラブでしか聴けなかったから最初はインターネットで聞いた。
特定の好きな音だけを使って、色んなスタイルからの要素の組み合わせを考え始めた。

Q ダンスミュージック以外の影響もありますか?
Kanji Kineticの曲にはハードコアやグラインドコアのドラムビートを連想させる曲もありますが、バンドの音楽にも影響を受けていますか?

- うん。俺はメタル、ハードコア、グラインドコアの大ファン。
5、6年程、パンクメタルバンドでドラムも叩いてたし、そこら辺の要素も自分のトラックに盛り込んでる。

Q SF映画やホラー映画、ゲーム音楽のサンプルも使用していますが、これらからも影響を受けていますか?

- 昔のゲームが大好きだ。特に日本のRPGは、サウンドトラックも含めてかなり良いよね。
アジアやヨーロッパの映画、ホラーやSF、B級映画もグッとくるし、時々サンプルで使ってる。

Q 最初に音楽を作ったのはいつですか?最初はどんな機材を使ってどんな曲を作っていましたか?

- 最初は、親のドラムマシーン(YAMAHA RX-8)で音楽を作った。
まずビートを作って、そこに使えるだけのベースとうわものエフェクトを足して、テレビ番組やゲームの音楽を再現しようとしてた。

ドラムンベース制作には、FL StudioのFruityloopsをパソコンで使って、初期はごく基本的な事だけやってた。
その後、ソフトの使い方を習得するにつれて、エレクトロやテクノも作るようになった。

Q いつから「Kanji Kinetic」として活動していますか?名前の由来は?

- 2005年頃にCDJを買って、DJを始めた。
当時、日本のゲームや映画、文化に興味があって日本語を勉強してた。だからDJ Kanjiって名前にした。
でもその後、別の人がもうDJ Kanjiって名乗ってたのを知ったから、Kineticを付け足した。
Kineticは、「動き」(例えばダンスとか)によってエネルギーが発生するという力学的な言葉。

Q 貴方の最初のリリースはShock Tactics EP (Rag&Bone)でしたよね。
リリースはどうやって決まったんですか?最初のリリースが決まった時、どう思いましたか?

- Rag & Bone Recordsのジェイソンが、リリースの件で連絡をくれた。
リリースが決まったときは心底嬉しかった。Rag & Boneは大好きなレーベルの1つだったうえ、
Warlockや、Blackmass Plastics、Aaron Spectreと肩を並べてリリース出来るなんて、とても感謝してる。

Q その後、Passionista /Slide Flo (Electrostimulation)、Bakemono (Subgrade Records)、 NLLR Mixtape 062、などの作品をリリースされています。
全作どれも、2008年当時のベースラインハウスのリスナーにとって衝撃でした。
貴方の作品には「クレイジーで極太なベースライン」、「ユニークなサンプル」、「強靭なビート」が盛り込まれてますよね。
当時のベースラインハイス/ベースミュージック界において、あれはかなり過激なものでした。
一体どんな風に自身のベースラインのスタイルを確立したのかを(それがどう生まれたかのエピソードもあれば)教えて下さい。

- 自分の音楽が、容易に型にはまれるシロモノじゃないことはわかってた。(例えば、売れてるベースライン系DJは、俺の曲をかけないだろう)
だけど、俺はただ自分が聞きたい音楽を作ってた。
色んなとこから影響を受けて、時にはフィジェット・ハウスやエレクトロハウスを聴いてみたりもした。
その上で、『これでもいいけど、でももっと速い方が良いはずだ!』とか考える。
あと、ベースラインの構造や型そのものは好きなんだけど、使われる音は制限されすぎてるな、と時々思ってたりして。
だから、ダブステップのベースを、ベースラインの型にはめ込んでみようと思ったんだ。

Kanji Kineticのスタイルについて

Q 貴方の音楽からポジティブなエネルギーと反逆精神を感じます。(party & destroyみたいな感じで)
自身の思想なども反映されているんでしょうか?それとも、純粋に音楽を楽しむために作られているんでしょうか?

- party & destroyって考え方は良いね!ははは。
俺は、エネルギッシュな音楽を初めて聞いた時の感覚を、再現しようとしてる。
どのトラックも違ったアプローチから作っていく。
時にはゲーム、またある時には映画、そしてたまには政治的な問題について考えながら制作することもあるだろうね。

Q 貴方の音楽から破壊的な衝動を感じます。
もし反骨精神(もしくは破壊的な衝動)があるとしたら、それは何に対してでしょうか?

- ダンスミュージックは「無難すぎ」と、時々思う。
その無難さで、自分のクビを締める事もあるんじゃないかな。
俺は皆に、音楽から何かを感じとってほしいと思ってる。
聴く音が、全く想定外の音であればある程、強烈な刺激が体験ができるってもんだろ。

Q 数多くのクラブトラックとは違って、貴方の曲には独創性とユーモアがあります。
一体どのように、高いクオリティーと、そのリリース・ペースを維持しているんですか?

- ありがとう!
他の(知り合いの)アーティスト同様、俺だって良い時期と悪い時期がある。
大事なのはやっぱりクオリティーだから、嫌なものはリリースしないって決めてる。
あと俺の場合、リミックスとオリジナルトラック制作を両方やるって事が、バランスをとる上で大事。

Q ベースラインハウスやダブステップ、テクノ、ムーンバートン等、あなたには多くのスタイルがありますが、曲を作る時は、先にスタイルを決めていますか?それとも、無意識にそうなってるんですか?

- たまに、先にアイデアがある。でも殆ど、制作過程でトラックのスタイルが変化する。
通常、トラックをいろんなテンポにしてみて、別のスタイルに出来るか可能性を探ってる。

Q 16bit、Temper D、kid606、Si Beggなど様々なジャンルのアーティストのリミックスを作っていますよね。
リミックスワークで重要なのは何ですか?リミックスの際は、どのようにオリジナリティーを出していますか?

- 俺にとって、オリジナルの制作とリミックスはかなり別物。
リミックスは、素材となる音源によって、かなり左右されるのが面白いと思う。
自分のスタイルが認識されるようなリミックスを心がけてる。
オリジナルトラックの音を、自分のスタイルでいじるっていう過程は、楽しいし充実感もある。

あと、すぐに名前が挙げられるくらい尊敬してるアーティストのリミックスをする場合は、最終トラックがなかなか決められない。
Si Beggのリミックスをした時は最終的に30トラック以上も出来ちゃって、1つだけ選ぶのは相当悩んだ!

Q 現在楽曲制作で使用している機材を教えてください。どのような環境で音楽制作をしていますか?
ベースサウンドはどのように作っていますか?

- 今は幸いにも、専用スタジオがあって、近所に誰もいないから、いつでも大音量が出せる。
MacBook Proで、ソフトはLogic ProとAbleton Live。
今年は、Adamのモニタースピーカー(A7X)を買って、かなり良い感じ。
ベースの音作りには、色んなソフトシンセ(Logic's ES2、Sylenth、Massive、Circle)を使ってる。

Q 日本語や日本の音楽をサンプリングしていますね。どうして日本語をサンプリングしたんですか?
差し支えなければ、Kawaii Riddimで使用されているサンプルを教えてください。

- 俺は、日本の文化とマルティメディアに興味があるんだ。
で、ハードコアやガバにアニメのサンプルを使うDJ Sharpnelって言うアーティストの曲を聞いて、
ガレージやベースラインにもアニメサンプルを使えばいいと思ったんだ。
Kawaii Riddimのサンプルは、youtubeでアニメの音(女の子の高い声を探してた)を探してた時に見つけた。確か、『ラブひな』をサンプルした。

Q 貴方は2回日本に来ていますよね。日本の印象を教えて下さい。

- 日本は、相当楽しかったな。
クラブは活気に溢れてるし、皆すごくフレンドリーだし。
無名だった頃の曲も、たくさんの人が聴いてくれてた。
Mograでのライブも素晴らしかった。マルチネレコーズのDJ陣は圧巻だったし。
東京と京都でやった小さいイベントも最高で、ライブはユーストもされた。

日本文化を経験できてすごく良かった。
音楽シーン、クラブ、プロモーターetc.の共通点や違いの発見にもなった。
特に、秋葉原のテレビゲーム屋やアーケードの店舗に相当ビビった。
あれはUKには無いね!しかも、UKじゃ入手困難な自分が気に入ってるゲームのサウンドトラックのCDが買えた。

Q 貴方の楽曲リリースのペースはとても速いですが、リリースにはペースも重要ですか?

- リリースが頻繁だと、いつでも人に音楽が届けられるのが長所。
けど、満足した楽曲をリリースするのがもっと重要。
望まない曲は、リリースしちゃ駄目だ。

Q Kanji Kinetic Presents Drumstep & Mutant Bass V1&2が現在販売中ですね。
この作品はKanji Kineticに影響を受けたクリエイターやドラムステップ/ミュータントベースを勉強しているクリエイターの助けになるとても良い作品だと思います。
ダンスミュージックのクリエイターにとってベース/ドラムの素材は最も大きな発明だと思います。
自身のドラム/ベース素材をリリースするのに抵抗はなかったのでしょうか?

- ありがとう!
うん、自分の音がサンプルとして発売されて、誰でも使えるようになるって経験は面白かった。
これによって俺自身も、面白い音を作るのに専念できるようになって、ユニークなサウンドを作り続けることができるわけだから、俺にとっても良い事だ。
多くの人が俺のサンプルを使って、ミュータントベースそのものにインスパイヤされてくれることを願ってる。

Q 貴方のおもうベースミュージックの魅力とは?

- クラブではもちろんなんだけど、胸の当たりにベースの振動を感じてずっしりくる感覚とかが魅力。
そもそも、音を聞くだけじゃなく、感じるようになることで、音が持つ更なる次元にはまることができるだろ。
特定のベースのノートやトーンは、意外なエフェクトや、ユニークなエフェクトをかけることによって、突出して違う感じに聞こえる。

Q 若いダンスミュージッククリエイターにアドバイスをください。貴方の様にオリジナリティーを保つには?

- 自分が楽しいと感じる音楽スタイルからの影響は、何でも受ける事。
最初は俺同様、しっちゃかめっちゃか過ぎるかもしれないけど、 そういうのが徐々にシーンを作っていくもんだ。
あとは、好きなアーティストを真似るのも良いね、どんなプロデューサーでも経験したように。
それをやっとけば、新作やオリジナルなものを作る際、その学んだ事が役立つから。

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Mutant Bass Recordsについて

Q Mutant Bass Recordsを始めたキッカケを教えてください。
Mutant Bassとはどんなジャンルですか?それ系のPartyやレーベルがUKで出てきていますか?

- Mutant Bass Recordsは、もっといろんな音楽が広く知られるべきだと思ったのがきっかけで始まった。
そういう楽曲をより多くのオーディエンスに届けたいと思ったから。
ジャンルの定義付けは難しいけど、Mutant Bass Records自体がジャンルになっていくと思う。
俺の音楽と同じく、ベースラインと、フィジット、ダブステップ、ブレイクビートハードコアの要素が結びついてたりする。
そういうアーティストの大半はUK出身だけど、USのDouble Oh Noとか、日本のMadmaidもいるし、この調子でどんどん発展したら良いと思ってる。

Q Mutant Bass Recordsの作品は全て、ドネイト形式になっています。
何故リリースする作品をドネイトにしたんですか?

- 最近のアーティストにとって最も重要なのは、認知度だと思うんだ。
人って、名前を知ってるアーティストに親近感がわくから、名前が知られてたらリリースやブッキングも増えるからね。

フリーダウンロードなら、最大数のリスナーの耳に届く事が可能。
だから、アーティスト(そしてレーベル)は、もっと人気が出る。

Q 貴方はSoundcloudやNet Labelから多くの無料作品をリリースしています。
どうやって売る音楽と無料の音楽を決めているのでしょうか?
貴方は何枚かの12インチレコードをリリースしていますが、今後も12インチレコードは貴方にとって必要でしょうか?

- リリースは、可能な限り無料にしたい。
だけど仮に、俺が尊敬してるレーベルからリリースの誘いがあれば、普通にオッケーする。
各々のレーベルが、各々のオーディエンスを持ってて、レーベルを介することによって、もっと多くの人と繋がれるからね。
自分がクラブでレコードをかけることはないけど、12インチのリリースをするのは賛成。
レコードは、ダンスミュージックの歴史の中心(実際、全ての音楽の)と言える。
今現在、一般的ではないとは言え、レコードのリリースはやっぱり嬉しいよ。

今後の展開について

Q 貴方は世界中のフェスティバルやパーティーでプレイしていますね。
ミュータントベース/ベースミュージックは世界に広まっていると思いますか?現在のUKのダンスミュージックシーンをどう思いますか?

- 多くの国で演奏できてるおかげで、世界中のいろんな人が俺の音楽を楽しんでくれてるってことを知ってる。
けど現時点で、最大のクラブダンスミュージックはダントツでダブステップだ。
俺たちの人気が上昇して、ミュータントベースがもっと有名になったらいいと思ってる。

UKにはいつでも健全なダンスミュージックがあって、多くの素晴らしいミュータントベース系アーティストが活躍してる。
もう一度言うけど、他の地域同様、UKでも、ダブステップは最も一般的なタイプの音楽。
ダブステップの後は、どんな『でっかい波』がやってくるんだろうな。

Q 貴方が現在のシーンでリスペクトしているアーティスト/レーベルを教えてください。

- Off Me Nut Records (UK)は、Squire of GothosやDankleを始め、数多くのタイプの無料リリースをしてる。
あと、Bass Hound Records (US)も、数多くの素晴らしいフリーリリースをしてる。
Coin Operated Records (UK)もずっと気に入ってるレーベルで、彼らも素材を12インチでリリースしてる。
日本のマルチネレコーズは俺やSubmerseのリリースも含めて、かなり良いセレクトの日本人アーティストを出してるね。
そしてもちろんマーダーチャンネル。最新コンピとか、ヤバい曲揃い!

RRRitalinとSubmerseはかなりお薦め。
(Submerseは2012年に日本に引っ越したから、これからは頻繁に見れるチャンスがあるはず)

Q 貴方の今後のリリース予定を教えてください。今後はどんな音楽を作りたいですか?

- もうすぐMutant Bass RecordsからBang HarderのEPを出す予定、
RRRitalinとKid606とJAKAZiDによるリミックスも収録されてる。

他にもMutant Bass Recordsでは、俺とRRRitalinのスプリット盤も出す予定。
On Kitty Corner Recordsからは、12インチで俺のHazchemという曲をリリース。
あと、Citizens Unite VIPという曲をHorror Boogie Recordsから。そしてKid606とGotekiのリミックスもリリースされることになってる。

俺は常に 自分の音を変化させ、進化させていくし、SubmerseとやったGyaku Gire(EP)みたいに、自分の好きなアーティストとも一緒に絡んでいきたい。
あと、近い将来テレビゲームのサウンドトラックもやりたいな。

Q3 最後に日本のKanji Kineticファンにメッセージをください。

- 読んでくれて、そして音楽を聴いてくれてありがとう!
今作ってる新しいライブセットが出来たら、また日本に戻りたいな。
Mutant Bass Recordsのフリーダウンロードは要チェックだよ!

Kanji Kinetic
https://soundcloud.com/kanji
http://www.mixcloud.com/kanji/
http://www.facebook.com/kanjikinetic


インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

MxCx Interview Vol.3 - Igorrr

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12月21日にAd Noiseamから待望のニューアルバムを発表するフランスの奇才Gautier Serreによる「Igorrr」のインタビューを本邦初公開!!

2010年に発表したアルバム「Nostril」で一気に頭角を現し、今最もエレクトロニック・ミュージックの中で期待を寄せられているアーティストの一人。
ブレイクコア~デスメタル~バロッック~ジャングル~クラシック~トリップホップをごった煮した奇っ怪で美しいプログレッシブな楽曲の数々で様々なジャンルのリスナーの心を射止めています。

また、エレクトロニックスとデスメタル/グラインドコアを融合させたエクスペリメンタルなバンド「WHOURKR」としての活動やMorbid Angelのリミックスなども行っており、バンド方面でも人気のアーティストとなっています。

とにかく、ハイブリッドで高貴な素晴らしい音楽を作るミュージシャンの一人です。まだIgorrrの作品を聴いた事のない方は是非、この機会にチェックしてみてください!

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※このインタビューは2012年11月10日に行われた物になります※

Q1 出身地と年齢を教えてください

ー ナイスな始まり方!インタビューなのに、警察の職質みたい(:
28歳、1984年生まれ、ブルターニュ地方のレンヌ出身。

Q2 貴方の音楽ルーツは?いつ頃から音楽制作をスタートさせましたか?

ー ルーツは主にメタル。特にデスメタルとブラックメタル。
でも同時進行で、極端なエレクトロニカや東欧の伝統音楽も聞いてた。
多分、自分はそもそも音楽に凄く興味があったんだと思う。
物心ついた時点でもう、曲とかドラムパターンやメロディーを作ってたから。

まず、古いヤマハのシンセで作り始めて、
その後はプレイステーションの”Music”っていうプログラムで作るようになって、
更にその後は、テープレコーダーとかサンプラーみたいなのを見つけてはいろいろ使ってみるようになった。
1つのものからというよりは、むしろ複数のものから影響を受けてお手本にしてた。
僕はとにかく、色んな音楽が好きだから、その全ジャンルに同じ場所に同時発生して欲しいと思ってるんだよね。
Cannibal CorpseとAphex TwinとDomenico Scarlattiが同時に出会うみたいなノリで。

Q3 ギターを演奏してどの位になりますか?影響を受けたギタリストは?
IgorrrやWHOURKRではどんなギターを使用していますか?

ー ギターは随分長く弾いてる。ちなみに、年齢のせいとかじゃなくて、すごい若い時に始めたからだよ:)
Metallica、Messhugah、Nirvanaを聞きながら、自分でギターを勉強した。

IgorrrとWHOURKRで使用したギターは、友人のJohan Deschampsが作ってくれたもの。
彼はファッションデザイナーなんだけど、
ある日僕のためにこの素晴らしいギターをWild Custom Guitarsで作ってプレゼントしてくれた。

Q4 ギター以外に演奏出来る楽器はありますか?

ー 幼少期にピアノを始めて、クラッシックやバロック音楽を習った。ドラムも叩ける。
デスメタルのバンドを過去にいくつかやっててドラム担当だった。
自分の楽曲では、ベースやパーカッションも自分で演奏してる。
良い音を突き詰めるために、何年も時間をかけた。

Q5 最初に音楽を作ったのはいつですか?Igorrr名義以前の活動は?
Igorrrの名前の由来を教えてください。

ー Igorrrの前は実験音楽をやってた。
周りの環境から受ける汚染やルールを、一切排除して、
しかも、安易な制作手段にはしることなく自分のスタイルを見つけ出すって点で、あの時期が一番ハードだった。
だから、Igorrr以前のアルバムは自分独自の音楽性を見つけるための模索と言える。
当時から既に、自分にはIgorrrらしさが出ていたけれど、あの頃はもっと粗野で不器用だった。
自分が探し求めた領域に手が届いた時、Igorrr名義で楽曲制作をスタートした。
僕の記憶が正しければ、2005年頃だと思う。

当時飼ってたIgorって名前のネズミが、ある日死んでしまって、悲しく悲しくて。
だからIgorの名前を、どうにか存在させておきたかった。
ちなみに、Igorはネズミと言ってもスナネズミだよ。Igorに「r」を3つ連打して、ちょっと難しい発音にしてみた。

Q6 Igorrrの音楽はブレイクコアだと思いますか?貴方はブレイクコアに影響されていますか?

ー うん、ある意味ブレイクコアだね。
僕の音楽は、いわば複数ジャンルの融合で、
(デスメタル+バロック音楽+ブレイクコア+トリップホップ+伝統音楽)
ブレイクコアを見つけたのは、最初の楽曲を作ったよりも随分後だった。

だから、自分が好きなジャンルを全部合わせた上で、ブレイクコアの要素をミックスの基盤に取り入れてるんだ。

Q7 楽曲制作のプロセスと使用している機材を教えてください。

ー 楽曲制作には、かなりの時間をかけてる:
まず、楽曲のアイデアを得て、自分が表現したい感じを明確にしながら、その感じを頭に描き出来る限りそれを研磨し続ける。
その後ようやく、実際の楽曲制作を開始する。1、2週間かけてレコーディングとミックスを行う、取り憑かれたように、ひたすらそのことだけ考え続ける。
しばらく経つと、自分の頭の中でだけ何度も何度も鳴っていた音が、今や楽曲が僕の頭の代わりにそれを再生してるってことが、自分の中で解ってくる。
そしたら後は、数ヶ月か数年かけて少しその楽曲を改善する。
まさに自分が思い描いた通りの音楽になってきたら、ものすごく注意深く聞いて、これ以上何も自分にとってショックじゃないし、驚きも無いってことを確認する。

あと、ソフトウェアは複数使ってるよ。
大体Cubase。でもアコースティックなレコーディングでは主にProtools。
スピーカーはAdam S3aとYamaha NS-10とFostex PM05の、この3組が気に入ってる。

Q8 Igorrrの音楽には多くの楽器があり、多くのプレイヤーが演奏で参加しています。
貴方は作曲出来て演奏も出来るのに、何故サンプリングをするのでしょうか?

ー 確かに僕はどっちもやる。
自分の演奏をレコーディングする制作手段も、サンプルを使っての制作手段もどっちも気に入ってる。
僕は、既に昔から世の中に存在してるものが好きだ、そしてそれに新しい生命や視点を与えることも。
サンプルの方が優れてるって思ってるわけじゃないんだけど、
もっとこう、僕が融合させたいジャンルの中でリーダー的存在になるような楽曲を作りたくて。
例えば、D. Scarlattiは僕にとってバロック音楽の象徴的な作曲家なんだけど、彼のジャンルを凶暴なデスメタルと融合させるとか、ね。
つまり僕は、既に存在する何かに全く別な何か、それか、少なくともそれを作った人達が想像だにしなかった何かを融合させたいんだ。

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Q9 新しいアルバムはどんな作品になっていますか?Mayhemのメンバーが参加しているのですか?

ー そう、Teloch、「Mayhem」のギタリストだ。
"Absolute Psalm" と "Lullaby for a fat Jellyfish"の2曲に参加してる。

でも、"Hallelujah"には、もっとたくさんのミュージシャンが参加してる。
例えばAdam Stacey(John ZornやSecret Shief 3、Estradasphereなどと一緒にもやっていたアコーディオン奏者)とか、バロックやデスメタルのシンガーとか、素晴らしいバイオリン奏者でありながら他にも多くの楽曲でストリングス演奏もしてくれたBenjamin Violetとか、Niveau Zero、Öxxö Xööx、Pryapisme、Vladimir Bozarのメンバーとか、とにかく多数参加している。

僕が作った曲を演奏して貰うのに一番ふさわしいミュージシャンばかりを選りすぐって、このアルバムを制作した。
彼らは、音楽的に全く別の世界から来ていて(デスメタル、バロック、伝統音楽など…)、全員ものすごく才能に溢れてるからね。
彼ら全員に一緒に演奏してもらって、本当に嬉しかった。

このアルバムによって、長年願ってたことが実現できた。
つまり自分が好きな全てのジャンルを一カ所に集めるということが。
これをリリースするには、何年もかかった。そして、ずっと本気になって頭で描いてきた何かを達成できた。
多くの時間を費やして、僕の音楽というものに対する主観的な認識をとうとう表現して形にすることが出来た。

Q10 昔、日本の琴の音もサンプリングしていましたが、日本の音楽に興味はありますか?

ー うん、興味ある。特に琴に。

昔々、僕のファーストアルバムの"Poisson Soluble"よりももっと前に、チープなMIDI音源の中に琴の音を見つけて、かなり沢山の楽曲で使いまくったよ。

Q11 音楽を作っていない時は何に熱中していますか?貴方の趣味は?

ー 僕は、常に楽曲制作してる。
自分のニワトリとまったりしてる時以外は、ずっと作曲して、アルバム制作して、レコーディング、ミックス、ツアーって感じ。
自分のアルバムの制作以外の時も、Improve Tone Studiosというスタジオでサウンドエンジニアとして働いてる。
音楽に疲れた時は、人工的な音から離れるために山で自然に浸る。
ブレイクコアもバロックも何もない状態で過ごす。つまり、冥想だね。

Q12 現在のフランスの音楽シーンについてどう思いますか?貴方が最近気に入っているフランス人アーティストは誰ですか?

ー 残念ながら現在のフランスの音楽シーンは、僕がやってることに理解が薄い。
前に比べれば、少しはマシになったとは思うけど、充分な人気が出るまでには、まだやる事がありそう。
僕が最近気に入ってるフランス人アーティストはPryapismeとVladimir Bozar 'n' ze Sheraf OrkestärとRuby my DearとÖxxö Xööx。
皆、系統はバラバラだけど優れたミュージシャン達。

Q13 Igorrrの音楽のコンセプトを教えて下さい。Igorrrの音楽を言葉で表す時は、何と言って伝えますか?

ー 自分の音楽を言葉で伝えるのは難しいよ!
音楽って、それそのものが伝えるものだし。
だから、あんまり、言葉を並べて説明するもんじゃないよ:)

でも、まぁ、敢えて言うと、Igorrrはとても主観的な視点から音楽を表現する。
音楽は、自分にとって最もしっくりくるもので、尚且つ、音楽は『完璧』な音楽がどんな音をしてるのかを僕に示してくれるものだ。

Q14 今後の予定を教えてください。次回のリリースは?そして最後に、WHOURKRの新しいアルバムの予定を教えて下さい。

ー 僕の最新アルバム"Hallelujah"が12月21日にリリースされる!!
その後は、しばらくはツアー。
そして2013年は、多分、僕の新しいデュオの「Corpo-Mente」のファーストアルバムを出すと思うんだ、多分ね。
WHOURKRのアルバムはまだ予定してない。
このプロジェクトはもう死んでる感じで、2009年にリリースした"Concrete"っていう僕らの作品を"Blood Music"が2013年3月にLPでリリースするのを待ってるんだけど。
例えリリースされたとしても、昔の音源を再版するだけで、新しい楽曲もライブも無い。
あ、僕、このインタビューをWHOURKRが死んだって話で締めくくろうとしてるの?それは悲しいね。
でも、僕はとにかく”Hallelujah”のリリースが楽しみでしょうがないってことが言いたい!!!

どうもありがとう!来年日本で、良いライブがたくさん出来るのを楽しみにしてる!

Igorrr
http://www.facebook.com/IgorrrBarrroque
https://soundcloud.com/igorrrrrrrrrr
http://www.adnoiseam.net/adn165

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

MxCx Interview Vol.2(続編) - Submerged(Ohm Resistance/The Blood Of Heroes)'s Favorite Japanese music TOP 10

前回インタビューを公開したハードコア・ドラムンベースクリエイターでありOhm Resistanceのオーナー「Submerged」によるチャートを公開!

前々からMerzbow、Aube、Swankys, Gauze, Outoが大好きだと公言していた彼に特にお気に入りのレコードを10枚解説付きで紹介して頂きました!
今回チャートに選ばれていたMerzbow、Boris、Ruins、Envyのレコードは本当に素晴らしいので興味が沸いたら是非チェックしてみてください!

そして、Submerged率いる「The Blood of Heroes」のセカンド・アルバム"The Waking Nightmare"が遂に完成した模様!今後もSubmerged/Ohm Resistanceの活動から目が離せません!

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俺の経歴や方向性はドラムンベースDJだろ?
だから、皆の予想を裏切っちゃうのかもしれないけど、俺は実は日本のノイズとロックのリスナー、且つコレクターなんだ!
初めて聴いた日本の音楽は、確かメルツバウ。
ペンシルバニアに、メタル・インダストリアル・ノイズをうまく混ぜてプロモーションするRelapse Recordsってレーベルがあったのは、運が良かったんだと思う。Pulse Demon(Merzbowが96年にRelapse Recordsから発表したアルバム)のプロモーションは、Earache bandsやRoadrunner bandsが好きなキッズたちを完璧に掴んだね。俺も買ったし。

1) Merzbow - PULSE DEMON

何年か後、ラッキーにも、Balazs Pandiという知人のおかげで、昌美のリリースができた。彼と一緒にライブを見に行って、DUCKS: LIVE IN NYCという昌美の楽曲を手に入れて、それをOhm Resistanceからリリースしたんだ。

昌美は、すごい威厳があって、芸術と人生の完全性に匹敵するような人間だった。
あの夜、彼に会ったのは、本当に楽しい想い出だ。

2) AUBE - DAZZLE REFLEXION,

その後、テネシー州にあるManifold Recordsというレーベルを見つけて、そのレーベルから出てるAUBEのMétal De Métal にであった。この頃のAUBEのリリースで一番好きだったのは白熱球の音だけを使ったやつだったんだけど。
音のソースを1つしか使わないっていう、アキフミのコンセプトがかなり好きで、長い時間かけて進化していくような曲作りを心底素晴らしいと思ったね。
AUBEは7インチもピクチャーディスクもCDも、かなりいろいろ持ってるし、彼の作品は、俺のコレクションの中でも特別な場所においてある。

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3) KK NULL - Erg/Sec

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Manifold Recordsドでは他にも、K.K. Nullにはまった。ノコギリ付きの7インチなんて、買うしか無いだろ。
毎回自分のDJに持って行ってた。万が一、駄目なDJになった日にはこれをかけようと思って!幸い、まだ使ってない。

4) ZENI GEVA - 10,000 Light Years

彼のバンドのZENI GEVAにもはまった。彼らのリリースも気に入ってる。

5) M.S.B.R. - Electrovegetarianism 7"

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すごい狂ったコレクターアイテムと言えば、多分これだな。
記憶が確かなら、 M.S.B.R.のメンバーが昌美と一緒にやってたはず。

6) BORIS - Pink

そして、BORISのPink!ビル・ラズウェルがBorisを教えてくれた。
ステレオの突風みたいな、絶妙のまとまり感が面白い。

7) ENVY / JESU - Split CD

JESUを買った時、そのスプリットだったENVYにもやられた。一回聴いただけで、すっかりENVYの虜になっちまった。そして、俺のコレクションリストに加えた!ENVYのアルバムは全部良い。ボーカルも、歌系も叫び系もどっちも最高。けど、敢えて1つ選ぶなら、これだ。

8) ENVY - All The Footprints You've Ever Left And The Fear Expecting Ahead

ギタリストが、若干Justin Broadrickに影響受けてると思うんだけど、そう思わない?

9) Otomo Yoshihide, Bill Laswell, Yasuhiro Yoshigaki ‎– Soup

このCDはビルの家に行った時に本人にもらった。今でも定期的に聴いてる。
「お互い、引っ張ったり、引っ張られたり」みたいなスタイルで、とにかく素晴らしいインプロヴィゼーションだ。

10) BOREDOMS - SEADRUM/HOUSE OF SUN & RUINS - VRRESTO

いよいよ10番目、ボアダムスのSEADRUM/HOUSE OF SUN、そして、ルインズのVRRESTOだ。
どちらも素晴らしいアルバムで、アメリカで大々的に流通されてて、タワレコでも買えた程だ!

Submerged
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MxCx Interview Vol.2 - Submerged(Ohm Resistance/The Blood Of Heroes)

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昨年10月にMHzから発行されたフリーペーパー、「MHzine Vol 1」に収録されていた「Submerged」のインタビュー記事をこちらのBlogにも転載させて頂ける事になりました!

SubmergedはGHz Music storeでも激プッシュしているUSのインディペンデント・レーベル、「Ohm Resistance」のオーナーであり、ビル・ラズウェルとの共作やMethod Of Defianceへの参加、Ad NoiseamやSublightからもダークでハードコアなドラムンベースをリリースしている鬼才アーティストです。

2010年にはBill Laswell、Justin K Broadric(Godflesh,Jeus)、Enduser、Dr Israelと「The Blood of Heroes」を結成。ダンスホール~ドラムンベース~民族音楽~メタル~シューゲーザーなどのジャンルを飲み込み新しいレベルのミクスチャーサウンドを叩きつけました。
現在ではWRENCHのMurochinさん、坂元東さんとのバンド「WRATH」をスタートさせMurder Channelからのデビューアルバムを制作しています。

このインタビューではSubmergedのバックグラウンドやOhm Resistanceの設立秘話、Mick Harris(ex SCORN)、Bill Laswellとの出会いや音楽ビジネスに関してなど、色々と語って頂きました。
そして次回では日本の音楽マニアでもあるSubmergedが自身のお気に入りの日本人アーティストをピックアップしたチャートを解説付きで公開致します!

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※このインタビューは2011年1月13日に行われた物になります※

Submergedについて

Q.貴方のバックグラウンドについて教えてください。何歳から音楽を作り始めましたか?

- 7、8歳。当時、母が80年代のヤマハのキーボードを持ってたから、右手でメロディー、左手でリズムを弾いてた。
学校のバンドで、クラリネット、サックス、ベースギターも習ってた。

Q.どんな音楽に影響を受けましたか?また、日本の音楽なども聴いていましたか?

- 14歳の時にNapalm Deathを聴きはじめた。
ある日、友達がNapalm Deathのカセットを見つけてきたんだけど、曲が短くてすごくびっくりした記憶がある。
日本の音楽も聴いてたよ。18歳頃から、Merzbow、KKNull、Aube、MSBRとかのノイズ系サウンドデザインものを聞きまくったよ。
今まで聴いた音楽と全然違ってて、音楽にルールは不要と思うようになった。

Q.音楽以外ではどんな物に影響を受けましたか?映画、芸術などの影響は?

- 映画からはよくインスパイヤーされる。実際、ほぼ映画からサンプルしてるし。
映画から音をサンプルしたら、全然違う音に加工するんだけど、映画の雰囲気は結局残るんだ。
旅にも影響をうけてる。僕は色んな国を旅しながら、その土地の伝統的な音楽の形式やフォームからインスピレーションを受けている。
そして、「音楽づくりの土台=反権威主義なライフスタイル」ていう、僕なりの図式ができた。
政治もビジネスも宗教も、僕には関係ない。影響も受けない。

Q.最初は何処をベースにライブ/DJ活動を行っていましたか?

- 1994年にパンクバンドでライブを始めて1996年にノイズを作りはじめた。
その後、ドラムンベースに没頭して1999年にワシントンDCでOhm Resistanceをはじめて、2002年にニューヨークに移動。
僕はニューヨーク生まれだから、ベストチャンスを求めるには二ューヨークがふさわしかった。

Ohm Resistanceについて

Q.レーベルをスタートさせたのはいつ頃ですか?

- 1999年に僕とMick Harrisでスプリット盤(Quoit vs. Submerged "Everything You Do is Wrong / Page Fault")を
バーミンガムの彼のスタジオ「Black Box Studio」で作った。
Mick Harrisは最初に僕の音楽を聴いてくれたし、何でも助けてくれた。

Q.Ohm Resistanceの名前の由来は?

- 僕は電子工学の学校に通ってたから、それに関連した名前にしたかった。
で、先にOhmってレーベルがあって、それとかぶらないようにもしたかった。
あとは、Underground ResistanceっていうDJ界ですごくリスペクトされてたテクノレーベルがあって、
『彼らのDIY精神』と『僕らのDIY精神』が似ていると思ったからOhm Resistanceに決めたんだ。

Q.何故、レーベルを始めたのでしょうか?

- 周りの連中みたく、安易に既存の音楽シーンにくっついて音楽するのが嫌だったから。自分独自の道を開拓したいんだ。
Mick Harrisと最初のレコードをつくった時、これはいいぞと感じた。だからそれを自分たちでリリースするのもあたり前のことだった。
最初の2年間、ビジネスや資金関連のことは、Mark (M. Gregor Filip)に手伝って貰った。
うちのレーベルは、アーティストもスタッフなのが特徴なんだ。

Q."The Project_Pale"、"NECESSARY"、"SCORN"などのロック/ダブバンドから"Submerged",
"Silent Killer", "Enduser", "Technical
Itch",などのドラムンベース・アーティストまでリリースしていますが、Ohm Resistanceのスローガンを教えてください。

- スローガンの「"WE WILL BE YOU FOR THE REST OF YOUR LIFE"」は、とっても抽象的で倫理的。
何かを一回意識に入れると、隅だろうが真ん中だろうが、それは意識に残る。
だから、僕らは一つのジャンルにこだわらず、意識にいろいろ入れていく。
レーベルも、1本の木が枝葉を伸ばすみたいに、いろんなアーティストを枝葉に取り入れたい。
人はいろいろな音楽を好きになっていいと思うんだ。1つのスタイルだけ好きっていうのは、人生が短すぎるよ。

Q.Ohm Resistanceのリスナーはどんな人達だとおもいますか?Ohm Resistanceはダンスミュージックのレーベルだと思いますか?

- Ohm Resistanceのリスナーは、柔軟な人だろうと思うんだ。
例えば、ドラムンベースをやる僕が好きなのに、MerzbowとかNapalm Death、Converge、Thomas Könerに関係したコンセプトも受け入れてる。
別ジャンルからうけた影響もひっくるめて、みんなが認めてくれるのは、意味が深いことだと思う。
僕らはダンスミュージック・レーベルとも言えるけど、それだけじゃない。
ドラムンベース~ダブステップ~テクノとか、いいビートだしもちろん楽しい。純粋にフロア向けのトラックとして大好きだ。
でも、僕らがやっているのは「ダンスフロア+面白いもの」とか「ダンスフロア+ダンスフロア以外のもの」っていう音楽なんだ。

The Blood of Heroesについて

Q.The Blood of Heroesが始まったキッカケを教えてください。このプロジェクトはいつからスタートしましたか?

- The Blood of HeroesはMethod of Defiancekaから枝分かれして誕生した。僕はMethod of
Defianceと少しだけプレイしたことがあって、最初2回のレコーディングに参加してた。
その後、僕はJustin BroadrickとEnduserとDr. IsraelをMethod of Defianceの3枚目のレコーディングに誘った。
まず、ビートをJustinに渡して、そこにJustinがギターをのせて、という風に。
けど、こうしてできた音は本来のMethod of Defianceとかけ離れすぎてたから、Bill Laswellの周りの人間はナーバスになった。
でもBill自身は、純粋にいい音楽を作ろうとしてただけだから気にしていなかった。
だけどやっぱり、周りの人間はそのギターが好きじゃなくて、結局 Billは新しいバンドを作れば良いさと提案した。
僕も最初このアイデアは嫌だったけど、今となっては正解だったと思う。

Q.どのようにしてメンバーは揃いましたか?このプロジェクトにリーダーは存在しますか?

- 僕は、親しい友人のEnduserに、一緒にビートを作るよう頼んだ。
僕らは2人ともGodfleshの大ファンだから、僕はEnduserとJustinに一緒に仕事をさせたかった。
その後、彼はBalázs Pándiを紹介してくれたから、ドラムのレコーディングに参加してもらった。
Enduserと僕はKJ Sawkaと組んで、彼がPendulumに入る前に何度かトリオで演奏して、レコーディングにも参加するよう頼んだ。
M. Gregor Filipとは古い友達で、彼もレーベル創始者の一人で、僕は彼に、録音の最後に電子音とギターを弾いてくれと頼んだ。
こんな風に、Blood of Heroesでは僕がいつも提案してるから、もしかしたら僕がリーダーと言えるかもしれない。
でも実際は、お互いに関わり合ってるし、全員ちゃんとやってるよ。

Q.どのようにしてレコーディングは行われましたか?

- いつもプロジェクトの締めくくりはBill Laswellだから、僕がまずスタジオでビートを作ってJustin Broadrickに送った。
彼がギターを弾き、数トラックはドラマーに送り、数トラックはボーカルを入れるためにDr. Israelに送る。
そして最後がBill Laswell。僕らは彼のベースに満足しているんだけど、彼のセッションは密室で録っているから、ミックスするためにJoel Hamiltonと一緒にStudio Gに行く。Joel Hamiltonも今や Ohm Resistanceをかなり支えている人間だ。

Q.The Blood of Heroesの音楽スタイルは?

- オールスタイル。鉄則は「ビートミュージック+ ヘヴィーギター+スペースサウンド+ダンスホールボーカル=全部がヘヴィーなグルーヴを奏でる事」

Bill Laswell/Mick Harrisについて

Q.Bill LaswellとMick HarrisはOhm Resistanceに深く関わっている様に見えますが、彼等はレーベルに所属しているのでしょうか?

- ここ数年、Mickとは特に大きく歩んでいると思う。
ScornのライブドラマーにYan Treacyを起用したのは、彼の音楽の面白い分岐点だったと思う。
今彼がやっているのは、とっても伝統的なダブステップのダブミックスなんだ。
MickはまさにOhm Resistanceの最初の12インチ時代から一緒だったし、レーベルとしてだけじゃなく、友達としても、彼の作品をリリースし続けられてる事を誇りに思う。
Billも何年間もOhm Resistanceの重要人物だった。けど、去年はあまり連絡をとる機会が無くなっていた。
ただ、現在の僕らのクルーであるTed Parsonsのベースを弾きたいとBillが言っていたから、それが実現すればいいなと思ってる!

Q.Bill Laswellとの出会いは?

- 2003年にRobert Soaresというディレクター(Lambadaを発掘した人物でもある)がOhm
Resistanceのドラムンベース音源を聴いた時に、僕がニューヨークに引っ越したという噂を聞いたらしい。
で、彼がBill Laswellにその話をして、Billは僕を家に呼んだ。
僕にとって、ブルックリンという生まれた場所に戻った事も、Billみたいなミュージシャンと仕事を始める事もどっちも素晴らしかった。そして2003年に "Brutal Calling"を一緒に作ってリリースした。

Q.Method Of Defianceでは貴方はどんな役割をしていましたか?

- Method of Defianceは最初にレコーディングしたBrutal Callingが発端になった。
その後、Sublight (RIP)が僕らの音源をレコーディングすることになって、それが最初のMethod of
Defianceの正式なレコーディングで、「The Only Way to go is Down」を録った。
この時、近藤等則とGuy Licataが参加した。Guyは僕がBillに紹介したんだけど、彼は今までに一緒にプレイしたドラマーの中で一番良いんだ。Method of Defiance vs. Painkillerっていう形で5、6回一緒にライブしたよ。

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今後の音楽シーンについて

Q. Ohm Resisntaceを10年間続けてきて、思ったことは?

- もっと多くの人が自分でビジネスをして行かなくちゃならないと思う。ミュージシャンもビジネスを学んでいくべきだよ。
アートで生きるためには、それをうまくやることもアートに含まれてる。
アーティストとして人に利用されたくなかったら、自分で音楽のリリース方法や収益の上げ方を学べばいいんだよ。
10代の若者は、気軽に商業音楽を違法ダウンロードしてるけど、どうせ金持ちから盗んでいると思ってるから罪悪感なんか感じてない。
けど、本当にアートを作っている人間から盗むのはどう思う?きっと多くの人が納得できないよね。
だからこそ、僕らアーティストがビジネスサイドの顔も持つことが大事だと思うんだ。

Q.Ohm Resistanceは数多くのCD/LPをリリースしてきました。デジタルリリースに関して、どう思いますか?今後もCD/LPは残ると思いますか?

- デジタル配信はいいね、問題ない。ビジネスモデルの進化を感じる。
できたての音楽を届けられるから、僕もデジタル商品を扱ってる。
当然なにかしらハードウェア的なものは必要だけど、CDとLPはどうなのかな?
特別な音楽だったら、物として所有したいと思う。
商業音楽なら物なんかいらないな。だって彼らのビジネスモデルは、テレビを見てるだけで何でも鵜吞みにする猿みたいなファンで成り立ってる。本物のファンは要らないだろ。
けど、自分が好きなアーティストを支えようとして、着信音を買うだけじゃない本物のファンは、何か手元に残る特別な物が必要だろう。

Q.違法ダウンロードに対抗する方法はあると思いますか?

- 違法ダウンロードは、社会の成長の途中で起きてる問題だと思ってる。例えば、人は家畜を盗み続けてるし、銀行強盗もよくある話。つまり「盗み」は、規格内の行動なんだ。
今現在、その規格内の「盗み」に音楽も入ってるんだ。とはいえ泥棒はいつまでもできるものじゃない。
たぶんある日、 Britney SpearsやKaty Perryみたいな退屈で薄情な音楽を盗んでも、自分に何も残らないことに気づくだろう。
Ohm Resistanceとか、WARP、NinjaTune、Ipecac、HydraHeadは、それとは逆の立場で残っていくだろう。
ちなみに僕は、WARPやNinjaTune、Ipecac、HydraHeadのことをすごいと思ってる。クリエイティブの構築に貢献してるし、プロジェクトに参加してるアーティストも尊敬してる。

Q.今後の音楽シーンについて、貴方の考えを教えてください。

- 僕らは自己表現のために音楽を作ってる。この自己表現と僕らのやりたいことが、みんなのそれとマッチすれば良いと思う。
音楽は僕らのアートだから、それを人と共有したいんだ。音楽はどんな民族にも共通した言語だから、自分は地球上に一人じゃないと思えるだろう。
ちなみにうちのHPもチェックしてみてほしい。Ohm Resistanceでフェイスブック、twitterもあるし、みんなとつながりたいし、気軽にコンタクトをとってくれたら嬉しいな。

Q.日本のOhm Resistanceのファンにメッセージをください。

- 日本はとてもユニークな場所だと思う。言葉も食べ物も、ライフスタイルも、地球上で日本しかない。
日本の人にも僕らの音楽を是非聴いてほしいし、近いうちに日本に行ってみんなに会って演奏したいし、日本文化からインスパイヤもされたい!
あと、桜庭和志の耳をちゃんと直してやってくれ。次から、試合で耳がとれないように。(:

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

http://www.facebook.com/ohmresistance
http://www.ohmresistance.com/

MxCx Interview Vol.1 - Dead Fader

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今年2月にMURDER CHANNEL+GHz Music StoreからLiveアルバム「Askanes」をリリースしたUK(現在はドイツ在住)の奇才アーティスト「Dead Fader」のインタビューを公開!
最近では狂人ラッパーのSensationalをフューチャリングした激重ハードコア・ヒップホップチューンを収録したEP「Work It No」をリリース。

ノイジーなビート、ハードコアな音質、唯一無二のオリジナリティー溢れるダークでヘヴィーな楽曲はClarkやJustin K Broadrick、Aaron Turnerからも絶賛されており、世界中のマニアックなリスナーから現在最も注目を集めている若手アーティストの一人です。

Dead Faderはどんな音楽にインスパイアされ何を考えているかが少し解る内容のインタビューとなっています。Dead Faderの楽曲を知ってる人も知らない人も是非一度読んでみてください!

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※このインタビューは2011年10月23日に行われた物になります

Q1 貴方の出身地と年齢を教えてください

- 出身はベッドフォード、ロンドンから北に1時間くらいのところ。
あまり刺激のない場所なんだけど、むしろそのおかげでパーティーにもあまり行かずに、音楽をたくさん作る事が出来たのかも。
年齢は23歳。このシーンじゃ、まだまだ若い。まるで赤ん坊。

Q2 どんな環境で音楽を聴いて育ちましたか?

- 学校には全然興味がなかったな。毎日家に帰ったらすぐ、コンピューターの前に座って作曲してた。ドラムとピアノもかなり練習した。
僕の音楽の背景は、かなりエレクトロニックで、今だにスクエアプッシャーやエイフェックスを初めて聴いたときの衝撃を覚えてる。
でもその前、幼少期は、‪‪ヴァンゲリス‬を聴いてた。当時大好きで。

Q3 Dead Faderの誕生について教えてください。Dead Faderの名前の由来は?活動当初をどんな音楽を作っていましたか?

- これといって音楽性には関係ないんだけど、Dead Faderは、『ミキサーのフェィダーが壊れてる』って意味。
Dead Faderの最初の曲は「Bitchface」 って曲だった。その曲以前は、ノイズやダンスミュージックを作ったりしてた。
でもある日、良さげなダブステップをでっかいシステムで聴いてたら、それをもうちょっとノイジーにして荒らしてみたいと思った。
背景はエレクトロニックだけども、今まで聴いたやつよりも、敢えてもっと重たい音で作りたかった。

Q4 どんな音楽から影響をうけてますか?
ノイズ、ヒップホップ、ダブステップの要素をDead Faderの音楽から感じます。これらのジャンルに影響を受けていますか?
あなたのビートの重さやグルーブはヒップホップから、そしてベースラインと音の広がりはダブステップから、テキスチャーや視点はノイズから来ているように思えます。あと、ホラー映画からの影響も感じますが、ホラー映画からも影響はされてますか?

- おぉ!すごい、大正解!
数年前、俺は完璧にダブステップに影響されてた。でも、ビートは、ヒップホップにハマってた、特にそのグルーブに。
もちろん、俺の音はあらゆる面を、ノイズミュージックにインスパイヤされてるし、バリバリした音もサクサクした音も、ハチャメチャな音も全部好きだ。
ただ、ホラー映画には影響されていないかな。でも、SF映画は常に好きだ。
Dead Faderは極端なエネルギーに溢れてるから、人のエネルギーをシャーマンみたいに音楽にチャネリングしたり、追っ払ったりするんだろうね。

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Q5 貴方の音楽はポストダブステップ、もしくはノイジーダブステップと認識されてると思います。貴方は共感出来ますか?貴方の音楽をジャンルに当てはめる場合、共鳴することができるジャンルは何ですか?

- 正直わからない。そういうのは、あるがままで良いと思うから。
皆、その時点で一般的じゃない音をカテゴライズしたがるみたいだけど、正直難しいよね。
例えばCloaksやNHK、Ben Frost、Devilmanも、俺と同様、カテゴライズが難しいアーティストだろ。
確かにノイズではあるけど、近頃のダンスミュージック要素だって入ってる。
面白い事にインダストリアル・ファンクっていう人も最近いるけど、まぁでも、そんなもんかね。ははは。

Q6 Corrupt My Examinerの制作はいつから始まりましたか?アルバムが完成したのはいつ頃ですか?
3by3からリリースされた経緯を教えてください。Cloaksとは何処で出会いましたか?彼らの音楽を知っていましたか?

- あのアルバムを作るのには数年かかった。
確か、曲は2008年に作り終えてて、それから、編集に時間がかかって、次にアートワーク、で、遂に2010年に完成した。
Cloaksとは、2008年のbloc festivalで知り合った。音も素晴らしかった、すごいヘビーで。
その後、暫くして、スティーブ(Cloaks)が連絡をくれて、CloaksとDead FaderとOyaarssでレーベルを始めたいって言われた。
彼がやってくれた事に凄く感謝してる、だって、他のレーベルで俺たちみたいなことをやってる人はいないからね。

Q7 Dead Faderのノイズサウンドはどの様にして作っていますか?アナログ機材は使用していますか?
曲を作るときにダンスフロアを意識していますか?もしくは無意識に作っていますか?

- かなりの人が、これを言うと驚くけどトラックは全部デジタル。Reasonっていうソフトで制作してる。
俺は、皆みたいにクールなソフトを使ってないし、自分自身でReasonだけを使うことを制限してる。
大多数のノイズミュージシャンはデジタル技術を使うのに抵抗を感じてるらしいけど、そんなの馬鹿げてると思うんだ。
何を使ったって自由だろ。
あと、そうだな、俺は作曲中に、踊ったりして、曲に合わせて動いてる。それによって、曲に何かが加わるんだ。
何か尖ってて、もっと強烈なバイブのある何かって必要だろ。テンションが熱狂する何かが音楽には必要なんだ。

Q8 現在のUK/EUのシーンをどう思いますか?最近多くのヘヴィー/ダークな音楽がリリースされていると思います。Dead Fader、Cloaks、Broken Note、Hecqなど。貴方は現在のシーンをどう感じますか?

- ええと、あまりわからないな。
ダークミュージックのシーンとまでは思わないけど、ヘビーでやばい音は今も出てきてるわけだし。
Loops HauntやNHK、Gum takes tooth、Baconhead、Emptysetの楽曲は、かなりど真ん中だよ。 
更に言うと、このアーティスト全員集めたレーベルなんてあったら相当良すぎる。

Q9 貴方の次のリリースは決まっていますか?今後どんな種類の音楽を作りたいですか?

- リリース予定はいくつかすぐあるんだけど、まだ言えない。
最近は、よりメロディアスな曲を作ってる。
メロディーって楽しい。メロディアスな曲って、より個人的だと思うし、相当良い曲ができてるから、アルバム出すのを本当に楽しみにしてる。

俺自身は、いろんなスタイルの音楽を作ってるけど、これまでにリリースされてるのはヘビー系のデッドフェィダーだけだから、皆がそれ以外の俺の音楽も楽しんでくれたら嬉しいと思ってる。

2012 best album chosen by Dead Fader

NHK'koyxen   -  dance classics vol.1(pan records)

C_C  -  retro action(bedroom research)

loren connors   -   red mars(vineyard)

Gonjasufi   -  muzzle(warp records)

Penalune   -  not all clouds are white(broken20)

Dead Fader
http://www.facebook.com/DeadFader
http://soundcloud.com/deadfader

インタビュー/文:UME 翻訳:Kyoka

 

MURCD-016 / Dead Fader - Askanes -

DJ Donna Summerインタビュー!!!

公開に1年以上立ってしまいましたが、この度編集を終えて公開します!
Jason氏とは2006年にDrumcropsと共に日本TOURを6都市7公演を一緒に回った中でして、その後も色々とお世話になっている仲です。とにかく彼は人柄が大変素晴らしく音楽への愛で溢れているナイスおじさんです。自身のレーベル「Cock Rock Disco」を運営し「Dev/Null」、「Glowstyx」、「Duran Duran Duran」、「Pisstank」などの名盤CD/12"を世に出すと共にCock Rock DIscoのWeb SIteではハイクオリティーなFree MP3を尋常じゃないスピードで配布しておりマイペースかつブレイクコア並びにアンダーグラウンドミュージックをサポートしています。
そんな彼の頭の中を少し除ける内容となっておりますので是非見てみてください~!

2007年9月某日「Cock Rock Disco」からリリースされたDJ DONNA SUMMER名義
では初のオリジナル・アルバム『PANTHER TRACKS』についてDJDS本人にメール
インタビューを行いました。

Q. ニューアルバム『PANTHER TRACKS』のテーマは何ですか?
この作品はブレイクコアだと思いますか?

テーマは楽しむ事!僕はGabber、Hardstyle Trance、Jumpstyle、
Baltimore Club Music、J-coreからとても大きな影響を受けていて、
そのテイストを生かした作品を作ろうと思ったんだ。
この作品は激しくて速いブレイクコアよりはノーマルかもしれないが、
ブレイクコアに通じる部分は沢山あると思うよ。

Q. 今のブレイクコアシーンについてどう思いますか?
貴方は2001年に最初の作品をリリースしていますが、
2007年の今ブレイクコアシーンは何が変わっていますか?

Breakcore is still great!!!
確実に世界中で成長しているよ。ブレイクコアのパーティーはヨーロッパ全体で
開催されるようになっているし ブレイクコアは確実に音楽のスタイルとして定着した。
最初の頃はみんな同じスタイルだったけど、今では多くのスタイルが生まれたね。
ダークでインダストリアルなスタイルや、よりドラムンベースに特化したスタイル、
トイっぽいハッピーなスタイル、テクニカルなサウンドやレイブ/テクノサウンド。
僕は全てのスタイルが好きだ。みんながジャンルやスタイルで食わず嫌いしないのを
願っているよ。

Q. ニューアルバムでも多くのレイブサウンドが見られ、レイブ・ミュージックに大きな
影響を受けているのが伺えますが、貴方が思うレイブ・ミュージックの魅力とは何ですか?

90年代のレイブ・ミュージックはとても興味深いよ。今でも物凄いパワーがある。
だからまた再びみんなにレイブサウンドに興味を持って欲しいと思う。
何故なら僕らが初めて レイブミュージックを聴いてから十分すぎる程時間が
経っているし、レイブサウンドは何時でも人々を魅了する力があると思うよ。

Q. 現在、沢山のブレイクコアアーティストがレイブシンセやサンプルを
使うようになって きていますが、レイブとブレイクコアは似た部分が
あると思いますか?

勿論!僕はそうだと思うし、他の人もそう思ってると信じている。
レイブサウンドはシリアスなサウンドでは無いけれど、パーティーの現場ではそれが
逆に良い作用を生むんだ。そう、レイブサウンドは常に皆をハッピーにさせる力があるんだ!
レイブを取り入れたブレイクコアはライブパフォーマンスに重点を置いていて、
シリアスでは無いけど、とても良いレスポンスがあるよ。
例えそれがチープなサウンドだとしても"本当のアート"と遜色が無いと思うんだ。

Q. いつから"DJ Donna Summer"と言う名義に変わったのですが?
また、"Jason Forrest"との違いも教えて下さい。

僕が作曲を始めた頃"Donna Summer"と名乗っていたんだ。
でも、4年前『Sonig』から初めてのCDをリリースした時に"Jason Forrest"と改名した。
その時のリリースはロックからのサンプリングが多かったんだけど、その後
ダンスミュージックやDJプレイに興味を持ち始めて、今はDJの時や自分の
トラックをプレイ する時に"DJ Donna Summer"の名前を使っている。

Q. 貴方の人生に影響を与えたレコードを10枚教えてください

それはとても難しいよ!10枚じゃとても足りないけど、これらは全てNO.1だ!

- Fear of a Black Planet- Public enemy
- Abbey Road- the Beatles
- White Light From The mouth Of Infinity – Swans
- Home is in your head- His Name Is Alive
- Hard Normal Daddy- Squarepusher
- Discovery- Daft Punk
- A Wizard, A True Star- Todd Rundgren
- Breakfast In America- Supertramp
- Combat Rock- The Clash
- Sign O the Times- Prince

Q 日本のシーンのイメージは? また、好きなアーティストを教えて下さい。

日本のBreakcore/Gabber/J-COREシーンには本当に影響を受けたよ!
多くの素晴らしいアーティスト達が沢山の素晴らしいトラックを作っている!

特に好きなのはDJ CHUCKY/WARST/OVE-NAXX/DJ TECHNORCH/DODDODO/M-project/REDALiCE/
KA4U/BUZZMASTA/t+pazolite/DJ SHARPNEL/BOGULTAにm1dy!・・忘れてしまったけど
まだまだ沢山いるよ!(笑) 日本のプロデューサーはとても愉快だし、日本のサウンドは
色々な音楽の要素を含んでいてとても素晴らしい。
沢山のスタイルの音楽からの多くの素材を使っていて奇抜な方法で面白い曲を作る。
僕は日本人専門のレーベル『MADDEST CHICK’NDOM』からリリース出来る事を
誇りを持っているよ!

Q. 最後に一言!

また日本でプレイする事を楽しみにしているよ!!

DJ DONNA SUMMER aka JASON FORREST@Murder Channel 2nd Anniversary(2006/tokyo)

Free MP3
DJ DONNA SUMMER - ROCK ROCK ROCK REMIXES -
http://www.cockrockdisco.com/CRD2/albumpages/Crockp3-007.html
DJ MIX
Night Mix - Feb 2009, by Dj Donna Summer
http://www.nightshifterslabel.com/NightMix-Feb2009.mp3

Web Site
http://www.cockrockdisco.com/
Myspace
http://www.myspace.com/djdonnasummer

インタビュー by UME from Murder Channel
テキスト by DJ CHUCKY

昨年末に大阪の「MADDEST CHICK'NDOM」より「Panther Tracks」の国内版がボーナストラック5曲追加して発売されています!
是非チェックを~!

アーティスト : DJ DONNA SUMMER
タイトル : Panther Tracks
レーベル : MADDEST CHICK'NDOM
品番 :MDSTCD-022
価格 :2,100円(税込)

01. Rock Rock Rock
02. Get Down
03. Ratpack
04. Boomshakalaka
05. Get The Fuck Off
06. Peepers
07. Such Language
08. Screaming Divas
09. Wonder Years
10. Party People
11. Toe Tag
12. I Got Ya
13. Rock rock rock(SOUNDBITES Remix)
14. Rock rock rock(t+pazolite Remix)
http://www.hardcoreosaka.com/

ドイツを拠点としてブレイクコアシーンを支える『COCK ROCK DISCO』のオーナー、JASON FORRESTが「DJ DONNA SUMMER」名義での初のリリース!年間100本以上のライブアクトから培われたフロアのリクエストを120%反映したフロアユース、そしてベッドルームでも楽しめる愉快なアルバムに仕上がっています。ハードスタイル、ジャンプスタイル等、ヨーロッパで流行しているジャンルを中心に、ガバ、ジャングル、レイブ、ハッピーハードコア、オールドスクール、ボルチモアブレイクス等の要素を只管マッシュアップした100000%オリジナルスタイルのハードコア!日本盤にはボーナストラック3トラックとボーナスリミックス2トラック収録!

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